同窓生でNY在住の弁護士・作家の旦英夫さんによる、「週刊NY生活」&「朝日ウィークリー」紙に連載中のコラムです!
AI Washing AI に便乗する誇張・口実
AI(人工知能)の急激な発達は、個人の生活にも企業の経営にも多大な影響を与えています。その中で、AI Washingという言葉をよく聞きます。Washingは「洗う」ことですが、表面を洗って「中身をきれいに見せるために取り繕うこと」「イメージ を塗り替える」という比喩的な意味があります。 つまり、 AI WashingとはAI活用を誇大アピールし、株価の吊り上げを図る手法です。 最近、 米国SEC(証券監視委員会)はこのような手法も詐欺的行為として取り締まることを明確にしました。
消費者としても、企業による製品の宣伝がAI Washingによる見せかけである可能性を考慮する必要があります。AI-powered やAI-designedという表現で、既存技術による製品を機能アップした新製品として誇大宣伝する例が多くあるからです。
もう一つ懸念されているのが、AI Washingを従業員解雇の口実として利用する企業があることです。技術的な処理をAIに委託し、職員の採用を抑えている企業があるのは事実です。その一方で、本当の理由を告げずに、「AIが代わりに仕事を担うため」との嘘の説明で、人員削減をする会社もあります。 AIの発達の裏側で、これを隠れ蓑に使うAI Washingは、現代社会を観察し理解する上で不可欠なキーワードとなって来ました。
(例文)As debate continues over AI’s true impact on the labor force, OpenAI CEO Sam Altman said some companies are engaging in “AI washing” when it comes to layoffs, or falsely attributing workforce reductions to the technology’s impact. (Fortune)
(訳)雇用へのAIの実際の影響について論議が進む中、オープンAI最高責任者サム・アルトマン氏は「一部の会社ではレイオフに関してAI washingを使っている、つまり、人員整理をAIテクノロジーの影響だと嘘の説明をしているのだ」と言いました。
(付記)Washの同様の使い方として、Greenwash (環境に配慮しているとうわべを偽ること)があります。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
6/21/2026
Osaka University North American Alumni Association
Osaka University North American Association 大阪大学北米同窓会は、大阪大学同窓会連合会に登録されている公認の団体です。メーリングリスト登録希望者の方:https://mailchi.mp/97bc32b64186/oualumni
同窓生でNY在住の弁護士・作家の旦英夫さんによる、「週刊NY生活」&「朝日ウィークリー」紙に連載中のコラムです!
Prediction Markets 予測(賭博?)市場
今、米国で注目を集めているPrediction Marketsとは、将来の出来事が起こる確率を市場価格として売買する仕組みです。2020年に創業したKalshiというオンライン取引所では、選挙結果や金利動向、スポーツの勝敗など、あらゆる事象が賭け取引の対象となっています。 例えば、ある選挙候補者の当選確率を市場が25%と評価している場合、その契約は25セントで取引されます。結果が出ると100セント(1ドル)で決済されるため、25セントで購入した契約が的中すれば、負けた側のお金を原資として、1ドルを受け取ることができ、投資額の4倍が戻る計算になります(利益は3倍)。少額の取引手数料は発生します。
このような予測市場は日本では賭博罪に抵触する可能性が高いですが、米国では連邦裁判所がこれを金融・先物市場の枠組みで扱う余地を認めました。 実際、Prediction Markets は先物市場を監督する連邦政府機関であるCFTC(商品先物取引委員会)の規制下に置かれています。
一方で、ニューヨーク州など一部の州ではPrediction Markets を州法違反とする訴訟が起きています。また専門家からはインサイダー取引や政治権力者による利益独占のリスクが指摘されており、 実際に、内部情報を用いた不正取引での逮捕者が出ています。「来年の景気後退の有無」や「次期大統領選の結果」といった予測が、正当な金融市場として機能するのか、あるいは単なる賭博に過ぎないのか、現在米国で大きな議論の的となっているのです。
(文例) Prediction markets – online platforms where users bet on future events – are surging in popularity and facing scrutiny amid reports of market manipulation and insider trading. Just last month, a soldier in the U.S. Special Forces placed a wager using classified information about the imminent removal of Venezuelan leader Nicolas Maduro – earning him over $400K and an arrest for using highly sensitive information for personal gain. (Stanford News)
(訳) Prediction markets と呼ばれる、将来の出来事の行方予想に賭けるオンラインサービスの人気が急上昇中ですが、同時に市場操作や内部取引に関する調査や報告の対象にもなっています。先月、米国特殊部隊の兵士がベネズエラの指導者ニコラス・マデゥロの差し迫る排除に関する極秘情報を利用して、賭けに手を出しました。彼は40万ドル以上を得たものの、高度機密情報を私益に使ったことで逮捕されるに至りました。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
6/3/2026
05/20/2026
【SF地区活動報告】
5月9日にSunnyvaleのBaylands ParkにてBBQが行われました。
カリフォルニアらしい気持ちの良い晴天の下、参加者全員でグリルを囲みながら、楽しいひと時を過ごすことができました。
ステーキやシーフード、焼きそばなどを囲みながら会話も弾み、初対面の方同士も自然と交流を楽しんでいました。子供たちも元気いっぱいで、終始和やかな雰囲気のイベントとなりました。
今回は少人数での開催となりましたが、その分ゆっくり交流を深めることができ、とても良い時間になったと思います。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
同窓生でNY在住の弁護士・作家の旦英夫さんによる、「週刊NY生活」&「朝日ウィークリー」紙に連載中のコラムです!
pied-à-terre tax 高級別宅税
今、ニューヨーク市において、pied-à-terre taxの導入が大きな話題になっています。pied-à-terre (ピエタテールと発音) とはフランス語で、地(Terre)に足(Pied)をつけることで、「別宅」を意味する決まり文句です。 社会民主派を自認するマムダニ・ニューヨーク市長はpied-à-terre に課税(tax)することを選挙公約に掲げて当選しました。 これは、市外ことに海外に住む超資産家がニューヨーク市内に、殆ど使わないで所有する高級物件 (500万ドルつまり約8億円以上の価値があるものが目安のようです)に通常の不動産税に加えて特別税を課そうとする試みです。
特別税の導入はニューヨーク市の厳しい財政事情を反映しています。子供の教育の無償化、医療援助、住環境整備などで、ニューヨークは厳しい財務状況が続いています。財源対策として行われる不動産への幅広い増税は、中低所得者層の財布を直撃し政治的にも難しいことから、外部の超資産家がターゲットとして浮上しました。 これを、一部の保守系の人々は“eat the rich politics” (金持ち叩き政策)として批判します。
ホークル・ニューヨーク州知事もpied-à-terre taxを導入するとニューヨークから金持ちが逃避するとして否定的な立場でした。 しかし、最近マムダニ市長との連携を図り、一転して導入に賛意を示したことから、この税の論議が本格化しています。約5億ドル (約800億円)の税収が予想される新税の行方はどうなるのか、ニューヨーク市民の注目を集めています。
(例文)New York City Mayor Zohran Mamdani and New York State Governor Kathy Hochul are supporting a pied-à-terre tax to help make up a big budget hole, while Mamdani is dropping a proposal to raise property taxes on homeowners more broadly. (CNBC)
(訳)ニューヨークのゾーラン・マムダニ市長とニューヨークのキャシー・ホークル知事は、大きな予算の穴を埋めるため、pied-à-terre taxを支持すると同時に、マムダニ市長は多くの自宅所有者の不動産税の値上げ提案を撤回しようとしています。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
5/17/2026
同窓生でNY在住の弁護士・作家の旦英夫さんによる、「週刊NY生活」&「朝日ウィークリー」紙に連載中のコラムです!
Hot Take Dating 直球型デート
Hot Take Datingという最近の流行語は、初回のデートから自分の政治信条や人生の目標などを直球でぶつけあい、お互いの価値観が一致するかどうかを早期に見極めようとする恋愛スタイルを意味します。 もともとジャーナリズムの世界で “Hot Take” は、十分な調査をせずに主観的な意見を述べることを意味していました。それがインターネット時代になり、「注目を集めるために一方的な意見を発信する」という意味で使われるようになりました。
従来のデートでは、お互いを少しずつ知るために、相手に気を遣いながら話題を選ぶのが一般的でした。相手への好意を育みながら、 もめそうな (Controversial)話題は先送りし、将来を共にできるかを時間をかけて確認していくのが一般的でした。
しかし、政治的意見や宗教観が大きく分かれる現代のアメリカでは、早い段階でお互いの立場を明確にする “Hot Take Dating”の方が、結果的に時間の無駄を避けられると考える人が増えています。もちろん、結婚を視野に入れるのであれば、夫婦関係や役割、子供のことなど、基本的なライフスタイルについての対話も早めに行われるでしょう。
日本でもマッチングアプリの利用が普及しており、そこから始まる出会いは “Hot Take Dating”を促進するかもしれません。若い世代の考え方の変化には、非常に興味深いものがあります。
(例文)Hot take dating is a new trend where daters openly share controversial opinions early on to filter compatibility, driven by political polarization and social‑media habits. Experts say it can foster meaningful connections if done respectfully, but it also risks alienating potential partners or appearing inflexible. (USA Today)
(訳)Hot take datingは、デートをする二人が相性を見極めるために、議論になりそうな意見を早い段階で正直に伝え合う新しいトレンドです。その背景には政治的分裂やSNS上での発信習慣があります。専門家は、礼儀を守って行えば有意義な関係を築けるものの、一方で将来のパートナー候補に疎まれたり、頑固な人であるという印象を相手に与えたりするリスクもあると指摘しています。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
5/3/2026
同窓生でNY在住の弁護士・作家の旦英夫さんによる、「週刊NY生活」&「朝日ウィークリー」紙に連載中のコラムです!
Robot Ump ロボット・アンパイア
今年のシーズンが開幕した大リーグの大きな話題はRobot Ump の導入です。 RobotはロボットそしてUmpはUmpireのことで、投手の投げたボールがストライクかボールかを、最終的にコンピューターによるリプレイ判定システムを使って判断する試みです。正式にはAutomated Ball-Strike (A.B.S.) Challenge System (自動ボール・ストライク挑戦システム)と呼ばれます。
これまでは、捕手の後ろに立つ球審によるストライクとボールの判定は絶対で、異議を申し立てる正式な手続きはありませんでした。しかし、Robot Ump のもとでは 投手、捕手そして打者が異議を申し立てることができ、球場に仕掛けられた複数の専用カメラが、投げられたボールの軌道を確認し最終判断を下します。 但し、異議が2回否定された時点で、チームはその試合で異議を提起する権利を失います。
このRobot Ump が導入されることにより、すべての選手の正確な身長が登録されます。ストライクゾーンの幅は変わりませんが高さについては、これまでの人間の審判の判定に準じて、身長の一定のパーセンテージの枠がストライクゾーンとされます。これにより、捕手がグラブを動かして、ストライクと見せかける技Framingという技術の重要性も変わっていくかもしれません。
アメリカでは2023年からPitch Clockと言う方式で、投球間隔の短縮が行われています。日本ではまだ導入されていませんが、ワールド・ベースボール・クラシックではすでに導入されています。 野球が国際的な場でプレイされる機会が増える中、Robot Ump などの新しいルールが今後どこまで導入されるのか非常に興味深いです。
(例文)The new higher power will be a network of specialized cameras set up in every ballpark to track the baseball’s exact location. It’s officially called the Automated Ball-Strike (A.B.S.) Challenge System. Many fans call it the robot ump.(New York Times)
(訳)(球審を上回る) 新しい判定の仕組みは、ボールの正確な位置を追跡できる特別仕様のカメラ・ネットワークで、すべての球場に配置される予定です。公式には自動ボール・ストライク挑戦システムと呼ばれます。多くの米国の野球ファンはrobot umpと呼びます。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
4/18/2026
同窓生でNY在住の弁護士・作家の旦英夫さんによる、「週刊NY生活」&「朝日ウィークリー」紙に連載中のコラムです!
Affordability Debate 「払えるか否かという論争」
AffordabilityはAffordable (無理なく払える)の名詞形です。 そして、Affordability Debateとは「払えるか否かという論争」で、今のアメリカで毎日耳にする政治と感情が絡むテーマです。 トランプ政権を批判するメディアは、食料品、電気、住宅費、医療費、教育など中流生活を構成する全ての値段が、低所得者だけでなく中間層の人にとっても手に届かない高額になっていることをAffordability Crisis (負担能力の危機)と呼び、報道の中核に据えています。 これに対し政権側は、企業の株価や利益・賃金の上昇、インフレ率そして住宅ローン金利の低下を根拠に、経済は良くなっていると反論します。
この真っ向から対立する論議がAffordability Debateと呼ばれるものです。アメリカ市民の多くは住宅費そして食料品価格の上昇が家計の切り詰めを余儀なくさせていると考えているようで、最近の世論調査では、Affordabilityに関する、政権への不安が表れています。経済統計の数値はアップダウンを繰り返しますが、 Debateの根底には、今そして将来のCost of Living (毎日生きるためのお金)の安定性に、国民が不安を感じている側面が色濃く反映されているようです。 そこには、関税政策の不透明さ、加えてイランとの戦争の経済的負担に国民が不安を覚えている面もあるのでしょう。
秋の中間選挙に向け、このAffordability Debate論争が最大の争点となる見通しと言われる中、共和党と民主党がどのような戦略を描くのか、非常に注視されるところです。
(例文)What you need to know about the affordability debate: Stock valuations trade near their highs while consumer confidence is close to its low. How can that be? The inescapable word – affordability – explains much of the deep disconnect. (J.P. Morgan Wealth Management)
(訳)affordability debateについて知るべきこと: 株式価格は高値をつける一方、消費者の経済に対する信頼は低下しています。それは何故でしょうか? 誰もが使わざるを得ないaffordabilityという言葉 が、株式価格と消費者の心情との深い乖離を示しています。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
3/29/2026
Click here to claim your Sponsored Listing.
Location
Telephone
Address
Berkeley, CA
94704