国立天文台

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宇宙には、⼆つの天体が互いの周りを回る「連星」が数多く存在します。このような天体がどうやって距離を縮め近づくのか、その様⼦をスーパーコンピュータによるシミュレーションが描き出しました。この結果は、星だけではなく、巨⼤ブラックホールの合体にも...
05/06/2026

宇宙には、⼆つの天体が互いの周りを回る「連星」が数多く存在します。このような天体がどうやって距離を縮め近づくのか、その様⼦をスーパーコンピュータによるシミュレーションが描き出しました。この結果は、星だけではなく、巨⼤ブラックホールの合体にも深く関わってくると考えられます。

太陽のような星は、必ずしも単独で生まれるわけではなく、二つ以上の星が連星として生まれることがあります。しかし、近い距離で回り合う連星が、どのようにして近づいたのかは、長年の謎でした。二つの天体が近づくためには、回転の勢いを小さくする必要があります。星の材料となるガスが連星の動きに影響を与えると考えられていますが、これまでの研究ではガスによってむしろ連星が引き離されてしまう場合もあることが示されていました。
法政大学、東京大学、北京大学の研究者から成る研究チームは、連星の周りに外側からガスが流れ込む場合に、連星の周囲に存在する磁場の効果を取り入れるとどのようなことが起こるのかを考えました。磁場は、宇宙ではガスの流れを大きく変える重要な役割を果たすことが知られています。研究チームは、国立天文台の天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイII」、「アテルイIII」を用いた大規模シミュレーションによって、磁場がある場合の連星の周りのガスの動きと、連星の動きの変化を、詳細に調べることに成功しました。
シミュレーションの結果、磁場の効果を入れた計算では、連星の間隔が少しずつ縮んでいくことが分かりました。連星の周囲には磁場によって乱れたガスの流れが生じ、さらに磁場に沿うようにガスが上下方向へ吹き出していく様子が、シミュレーションによって描き出されました。これらのガスの動きによって、連星が持っていた回転の勢いが外側へ運び去られ、連星の距離が近づいていきました。
この結果は、星同士の連星だけでなく、太陽の数百万倍以上もの質量を持つ巨大ブラックホール同士にも応用することができます。銀河同士が合体すると、それぞれの中心にあった巨大ブラックホールもペアを作ると考えられます。しかし、そのペアが最終的に合体するためには、まず互いの距離を大きく縮める必要があります。本研究で示したガスと磁場の働きは、巨大ブラックホールのペアを、最後は重力波によって合体できるほど近い距離まで近づける新しい道筋を与えるものです。

本研究は、外から流れ込むガスと磁場の効果を考慮したシミュレーションに成功し、ペアの天体同士が近づく新しいシナリオを描き出しました。双子の恒星の形成過程と巨大ブラックホール連星の合体という、一見まったく異なる天体現象を同じ物理の仕組みで理解できる可能性を切り開いた成果です。

画像クレジット:Matsumoto, Hotokezaka, Inayoshi 2026

(詳細記事のリンクはコメント欄に)

04/06/2026

国立天文台天文情報センターの平松正顕(ひらまつ・まさあき)講師が、2026年度日本ITU協会賞 奨励賞を受賞しました。

「電波天文保護と宇宙研究業務の周波数確保に向けた国際標準化を主導しWRC関連議論に貢献した」ことが受賞の理由です。平松講師は、周波数資源保護室長として、電波天文観測に適した環境の維持に取り組んできました。天体から届く電波は、通信や放送など現代社会で使用される人工電波と比べて極めて微弱であるため、電波天文観測を継続するには、人工電波を利用するさまざまな業務との調整が欠かせません。平松講師は、国内における周波数資源保護活動に加え、国際電気通信連合(International Telecommunication Union、ITU)の会合や世界無線通信会議(World Radiocommunication Conference、WRC)への参加を通じて、世界の電波天文関係者と協力しながら電波天文観測環境の保護活動を推進しています。

今回の受賞について平松講師は、「歴史ある日本ITU協会賞を受賞できたことをたいへん光栄に思います。便利で快適な社会を支える電波利用と電波天文観測環境を両立させることは簡単ではありませんが、多くの関係者の皆様のご理解とご協力に支えられて活動を進めてきました。今後も通信技術の発展や社会の変化に伴って、周波数利用を取り巻く状況はさらに複雑になっていくと思われます。本奨励賞を『今後も努力を続けてほしい』という励ましと受け止め、引き続き関係者の皆様との対話を重ねながら、電波天文観測環境保護に貢献していきたいと思います」と述べています。

また、国立天文台電波天文周波数委員会委員長を務める本間希樹(ほんま・まれき)国立天文台水沢VLBI観測所長は、次のように述べています。「平松正顕さんの日本ITU協会受賞に、心よりお祝い申し上げます。平松さんは、電波天文学を始め急速な進歩を遂げつつある各種電波技術に対する理解が深く、また、時には利害が相反する関連事業者とも適切な協力関係を築きながら交渉を進める力も持ち合わせており、それらを元に電波天文の保護業務にこの間真摯に取り組まれてきました。電波天文学を縁の下の力持ちとして支えるこのような平松さんのご活躍がこの度評価されたことは、ご本人はもちろんのこと、今後の電波天文の保護活動にとってもたいへん明るいニュースであり、同活動に関わる一員として私も非常に嬉しく思います。今回の受賞を契機に、平松さんのさらなる活躍にも期待しております」。

一般財団法人日本ITU協会は、ITU等の国際機関の活動への協力や、それらに関する資料収集・普及・啓発および国際協力を通じて、世界の通信・放送の発展に寄与することを目的として活動しています。日本ITU協会賞奨励賞は、電気通信/ICTおよび放送分野における国際標準化や国際協力に関する諸活動において、今後の活躍が期待される個人・団体に贈られる賞で、今年度は計21件の授賞がありました。

2026年4月30日、小林茂樹(こばやし・しげき)文部科学副大臣ならびに清水真人(しみず・まさと)文部科学大臣政務官が、視察のため国立天文台三鷹キャンパスを訪問されました。当日は、川合自然科学研究機構長も同席し、土居国立天文台長より、国立天...
15/05/2026

2026年4月30日、小林茂樹(こばやし・しげき)文部科学副大臣ならびに清水真人(しみず・まさと)文部科学大臣政務官が、視察のため国立天文台三鷹キャンパスを訪問されました。
当日は、川合自然科学研究機構長も同席し、土居国立天文台長より、国立天文台が運用するすばる望遠鏡(ハワイ)、アルマ望遠鏡(チリ)、そしてハワイに建設を計画している超大型望遠鏡TMTにおける大型国際共同研究等の取り組み状況の報告、さらに宇宙科学(天文学)分野への国立天文台の貢献実績や将来計画等についての説明がありました。
その後は4D2Uドームシアターを訪れ、最新の観測データや理論研究に基づきスーパーコンピュータによるシミュレーションで制作された宇宙の美しい立体映像を体験した後、天文台歴史館で65センチメートル屈折望遠鏡等を見学されました。また、展示室にてTMTの主鏡を構成する分割鏡についての説明を受けられました。先端技術センターでは、高感度センサーやアルマ望遠鏡電波受信機などの観測機器部品の超精密加工の説明を受け、重力波実験棟では、干渉計型重力波アンテナTAMA300を視察されました。

宇宙誕生から約8億年後の時代にある極めて暗く小さな極小銀河「LAP1-B」を、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で観測した結果、この銀河に含まれる酸素の割合が観測史上最少の値であることが示されました。さらに解析したところ、この銀河は...
14/05/2026

宇宙誕生から約8億年後の時代にある極めて暗く小さな極小銀河「LAP1-B」を、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で観測した結果、この銀河に含まれる酸素の割合が観測史上最少の値であることが示されました。さらに解析したところ、この銀河は、現在の天の川銀河の周辺に存在し極めて星の数が少ない謎の天体「超低光度矮小(わいしょう)銀河」(Ultra-Faint Dwarf、以下UFD銀河)の、生まれて間もない頃の姿かもしれないことが分かりました。宇宙初期に誕生した化石天体と考えられてきたUFD銀河について、その誕生と進化の謎を解き明かす糸口として画期的な成果です。
ビッグバン直後の宇宙には水素とヘリウムといった軽い元素しか存在せず、酸素や炭素などの重い元素はその後に起こった恒星の誕生と進化によって作られました。宇宙で最初に誕生した「初代星」がいつどのように元素を作り出し始めたのか、それを探ることは、現代天文学における最重要課題の一つです。しかし、宇宙初期の銀河はあまりに暗く小さいため、詳しく調べることは極めて困難でした。
金沢大学や国立天文台などの研究者から成る国際研究チームは、赤外線域の分光能力が極めて高いJWSTを用い、さらに巨大銀河団の重力で遠くの天体からの光が増幅される重力レンズ効果を利用することで、LAP1-Bを捉え、詳細な性質を明らかにしました。この銀河は、これまで観測された銀河の中でも酸素存在比が極端に少なく、また酸素に比べて炭素の割合が極めて高いという特徴を示しました。後者は、理論的に予測された初代星が放出する元素分布とよく一致します。
さらにこの銀河の質量を推定したところ、銀河を構成する星の総質量は太陽の3300倍以下と極めて小さく、銀河の質量の大部分がダークマターで構成されていることも分かりました。この特徴は、UFD銀河とよく似ています。今回の成果は、UFD銀河の誕生や進化を解明する重要な手掛かりになると期待されます。
研究チームの代表である金沢大学の中島王彦(なかじま・きみひこ)准教授は、「データに現れた圧倒的な酸素の欠乏を見たときは、思わず興奮しました。これほどピュアな状態の銀河が存在し、その姿をここまで克明に捉えられたことは、まさに驚きです」と語ります。また、研究チームの主要メンバーである国立天文台および東京大学宇宙線研究所の大内正己(おおうち・まさみ)教授は、「この銀河を詳しく調べることで、UFD銀河がなぜ宇宙の化石として現在までその姿を保っているのか、その謎に迫ることができると期待しています」と今後を展望しています。

12/05/2026

国立天文台ニュース「2026春号」を公開しました。今号は「子どもたちの天文学」特集号として、現在さまざまなセクションで行われている国立天文台の教育普及活動のようすを楽しい紙面でご案内。天文台を訪れる体験から家庭や地域での学び、そして世界へと広がる取り組みまで、子どもたちと宇宙をつなぐ国立天文台のさまざまな活動のようすをご紹介します。

冥王星以外で初めて、太陽系外縁天体に大気を発見小さな太陽系外縁天体が恒星の手前を通過する際の観測から、この天体が極めて薄い大気を持っていることが発見されました。太陽系小天体についての理解を大いに深める新たな知見です。
04/05/2026

冥王星以外で初めて、太陽系外縁天体に大気を発見

小さな太陽系外縁天体が恒星の手前を通過する際の観測から、この天体が極めて薄い大気を持っていることが発見されました。太陽系小天体についての理解を大いに深める新たな知見です。

宇宙に私たち以外の生命はいるのか? 無料ウェビナー「太陽系の外の世界に生命を探す」開催わたしたちは宇宙の中で孤独な存在なのでしょうか。そんな根源的な問いに挑む、地球外生命を巡る最先端の研究についてご紹介します。国立天文台 国際普及室(IAU...
01/05/2026

宇宙に私たち以外の生命はいるのか? 無料ウェビナー「太陽系の外の世界に生命を探す」開催

わたしたちは宇宙の中で孤独な存在なのでしょうか。そんな根源的な問いに挑む、地球外生命を巡る最先端の研究についてご紹介します。
国立天文台 国際普及室(IAU OAO)は、2026年6月5日(金曜日)、系外惑星研究を専門とする森万由子特別研究員を迎え、ウェビナー「太陽系の外の世界に生命を探す」を開催いたします。
本イベントは、アストロバイオロジーの分野で活躍する女性研究者に焦点を当てたウェビナーシリーズの第2弾。アストロバイオロジーは、天文学、生物学、化学、地質学などを横断し、「生命はどのように誕生するのか」「どこに存在し得るのか」「それは人類にとって何を意味するのか」といった本質的な問いに取り組む研究分野です。
ワクワクするような科学の最前線をぜひご体験ください。

◾️開催概要
日時:2026年6月5日(金曜日)午後7時開始
形式:オンライン(YouTubeライブ配信)
参加費:無料(事前登録不要)
言語:日本語

◾️講演内容
地球外生命を巡る最先端の研究についてご紹介します。その存在が期待される有力な候補の一つが「太陽系外惑星」、太陽以外の星の周りの惑星たちです。
これまでに、さまざまな観測手法によって6000個を超える系外惑星が見つかってきました。さらに、新しい望遠鏡や観測装置のおかげで、ただ惑星を見つけるだけでなく、その惑星の環境まで詳しく調べられるようになりました。現在では、温度や大気の成分など、その惑星に生命が存在できる環境があるかどうかを調べることも可能になってきています。
この講演では、これまでの系外惑星研究の発展を紹介しながら、系外惑星の観測がどのようにアストロバイオロジーにつながっているのかをお話しします。また、2030年代に計画されている次世代望遠鏡によって生命が住んでいるかもしれない惑星を見つけるために、どんな課題があるのかについても掘り下げていきます。

◾️講師プロフィール
森万由子(もり まゆこ)
アストロバイオロジーセンター 若手研究者雇用特別研究員(学振特別研究員PD)。東京大学理学部天文学専攻で博士号を取得。主な研究対象は太陽系外惑星とその恒星。恒星の磁気活動が系外惑星観測に及ぼす影響を観測的に調べる。
研究以外に、YouTubeチャンネル「アスナロサイエンス 」(現在はほぼ休止中)の運営など、さまざまな科学コミュニケーション活動にも携わる。趣味は植物や熱帯魚を育てること、編み物。

広報ブログ「王者の惑星を観望する―シリーズ・季節の天体 2026年3月」を公開しました。
24/04/2026

広報ブログ「王者の惑星を観望する―シリーズ・季節の天体 2026年3月」を公開しました。

星は、「分子雲」とよばれる低温の星間ガスの中で誕生します。近年、複数の細長い分子雲が放射状に集まった「ハブ・フィラメント系分子雲」という構造が観測によって見つかってきています。このような構造がどうやってできるのか、コンピュータ・シミュレーシ...
22/04/2026

星は、「分子雲」とよばれる低温の星間ガスの中で誕生します。近年、複数の細長い分子雲が放射状に集まった「ハブ・フィラメント系分子雲」という構造が観測によって見つかってきています。このような構造がどうやってできるのか、コンピュータ・シミュレーションが描き出しました。

ハブ・フィラメント系分子雲は、大質量星や星団が形成される場所として注目されています。これまでの理論研究では、超新星爆発や近くの大質量星からの放射などによって引き起こされる星間衝撃波と分子雲中の磁場の相互作用によって、細長いフィラメント状の分子雲が形成されると理解されてきましたが、放射状に並ぶハブ構造がどのようにして作られるのかは謎でした。

九州大学と名古屋大学の研究者から成る研究チームは、実際の分子雲では重力の影響によって磁場が中心に向かってくびれた砂時計のような構造を持つ場合があることに着目しました。そのような磁場を持つ分子雲に、高速の星間衝撃波がぶつかったときに何が起こるのかを、国立天文台が運用する天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイIII」を用いたシミュレーションによって調べました。

シミュレーションでは、次のような現象が見られました。衝撃波が星間ガスを通過すると、ガスが掃き集められます。星間ガスは磁力線に沿って運動をする性質があるため、集められた星間ガスは砂時計型にくびれた磁場の影響で流れの向きが変わります。そして磁場に沿って中心に向かって集まりながら細い流れに分裂することで、フィラメント状の分子雲が放射状に並ぶ構造が形成されたのです。さらに、このようにして作られたフィラメント状の構造を通じて、高密度なガスが中心領域に運ばれていることも示されました。このシミュレーションで作られたフィラメント状分子雲の長さや幅、ガスの流れる向きは、実際に観測されたハブ・フィラメント系分子雲のものとよく一致しています。

今回の研究成果は、ハブ・フィラメント系分子雲で観測されているさまざまな特徴が、星間衝撃波と砂時計型の磁場の衝突という一つの現象で説明できることを示しました。銀河の中で、星や星団がどのような場所に、どのような条件のもとで生まれるのかの理解を深めることにつながる成果です。

画像クレジット:(左)M.S.N. Kumar, ESA/Herschel, NASA/JPL-Caltech (Spitzer),(右)S. Nozaki & S. Inutsuka

すばる望遠鏡が明かす木星トロヤ群小惑星の「色の謎」- Suprime-Cam 最後の観測がもたらした新発見 -すばる望遠鏡とその初代広視野カメラ「Suprime-Cam(シュプリームカム)」による観測から、木星の軌道付近に広がる「木星トロヤ...
17/04/2026

すばる望遠鏡が明かす木星トロヤ群小惑星の「色の謎」- Suprime-Cam 最後の観測がもたらした新発見 -

すばる望遠鏡とその初代広視野カメラ「Suprime-Cam(シュプリームカム)」による観測から、木星の軌道付近に広がる「木星トロヤ群小惑星」の色と大きさの関係に新たな特徴が見えてきました。これまで大きな小惑星で見られていた色の違いが、小さな小惑星では異なる振る舞いを示すことが分かり、トロヤ群小惑星の起源や進化を解き明かす手がかりとして注目されます。

住所

大沢 2-21/1
Mitaka, Tokyo
181-8588

営業時間

月曜日 10:00 - 17:00
火曜日 10:00 - 17:00
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電話番号

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