03/03/2022
板と板を接合する接(は)ぎ合わせや擦り合わせでは板を縦に並べて作業が行われていますが、板を仮止めする際にはカスガイ(鎹)と呼ばれる鉄の道具を使っています。
カスガイはよく見るとそれぞれの長さが微妙に異なっています。板の間をノコギリで挽いていく擦り合わせの作業はカスガイで板同士を引っ張り合わせて固定させ、板の隙間が少ない状態で行うため、しばらくするとカスガイの長さが仇になり、それ以上隙間が埋まらなくなります。その段階にきたら、わずかに短いカスガイに掛け替えて、より負荷をかけて板を引っ張り合わせて隙間を埋めた状態で、擦り合わせの作業を続けます。カスガイの長さが一本一本異なることを利用した使い方です。
地味ながら、和船作りには欠かせないカスガイ。わざとバラバラの長さになっているため、機械での均一生産には向いていません。単純な形に見えますが、カスガイの引く力が増すようにツメに傾斜がかかっていたり、薄いながらも丈夫さが必要だったり、見た目だけでは分からない性能が隠れています。
田尻さんが使っているカスガイは美濃地方にいた野鍛冶が作ったもの。今はこの野鍛冶は亡くなられているため、このカスガイを作れる鍛冶職人を探す必要があります。このカスガイは滅多に壊れるものではありませんが、本数が必要です。作業を支える道具が作れなければ、鵜舟そのものを作れなくなる可能性があるという課題を提起しています。
写真1:微妙に長さが異なるカスガイ。
写真2:カスガイを斜めに打つことで引っ張る力を増すことができ、かつ、板が割れるのを防いでいます。
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