映画女優のエレガンス【映画鑑賞教室】

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都内で映画鑑賞教室を定期的に開催しています。ハリウッドクラシックや戦後ヨーロッパ映画の女優のエレガンスや美についての講座です。内なる高貴さを体現している女優たちの本質に迫ります。
長らくお休みしておりましたが、2026年中に徐々に再開いたします。(2027年をめどに本格的な再開を考えております)
なお、基本的にはこれまでのお客様と、その紹介の方のみといたします。
ただし、例外的にご参加可能な場合があります。もしご興味あれば、お問合せください。 クラシックなハリウッド映画と戦後ヨーロッパ映画で活躍した女優を1講座(2時間)で取り上げます。代表作品からの抜粋を上映しつつ、女優のエレガンスや美についての講義をいたします。ハリウッドクラシックや戦後ヨーロッパ映画の女優のエレガンスや美についての講座です。エレガンスとは、外見の造型的な美しさではなく、外へと滲み出してくる心の高貴さや豊かさと考えます。内なる高貴さを体現している女優たちの本質に迫ります。

【取り上げる女優・予定】
詳細な予定はフィードにて更新いたします。
A: シネマクラシック映画の伝説的なハリウッド女優たち
オードリー・ヘプバーン(全2回)
マリリン・モンロー(全2回)
イングリッド・バーグマン(全2回)
ヴィヴィアン・リー
エリザベス・テイラー
マレーネ・ディートリッヒ
グレタ・ガルボ
グレース・ケリー
ローレン・バコール
デボラ・カー
キャサリン・ヘプバーン
ベティ・デイヴィス
キャロル・ロンバード
ジョーン・フォンテイン
B: 戦後ヨーロッパ女優たち
・フランス
カトリーヌ・ドヌーヴ(全4回)
ジャンヌ・モロー
ジュリエット・ビノシュ
アヌーク・エーメ
ブリジット・バルドー
アンナ・カリーナ
ドミニク・サンダ
イザベル・ユペール
・イタリア.
ソフィア・ローレン
クラウディア・カルディナーレ
モニカ・ヴィッティ
・イギリス
シャーロット・ランプリング
・ドイツ
ナスターシャ・キンスキー

【講師】
映画鑑賞教室  主宰 福原ひろみち :
経歴:東京大学大学院修士。
1968年仙台市生まれ。神奈川県で育つ。現在は松戸市在住。
大学院時代に、ギャラリー兼出版社のアルバイトで、写真集の解説や映画字幕の翻訳や執筆などを行う。
東京大学大学院表象文化論学科で蓮實重彦に師事。
大衆芸術論や現代思想・哲学を学び、修士号を取得。
1995年以来、広告会社に勤務。2018年映画鑑賞教室を立ち上げ。
2021年12月、広告会社を退職し、映画鑑賞教室に専念。

本日9月29日のミレーヌ・ドモンジョ生誕91周年を記念して彼女の作品を紹介します。(1935年9月29日 - 2022年12月1日、87歳)■ミレーヌ・ドモンジョは、フランス・ニースに生まれました。生れつきの斜視を治療し、映画界にスカウトさ...
29/09/2026

本日9月29日のミレーヌ・ドモンジョ生誕91周年を記念して彼女の作品を紹介します。
(1935年9月29日 - 2022年12月1日、87歳)

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ミレーヌ・ドモンジョは、フランス・ニースに生まれました。

生れつきの斜視を治療し、映画界にスカウトされ、17歳で映画デビューし、『サレムの魔女』(1956)で脚光を浴び、1958年には英国アカデミー賞の有望若手女優賞の候補となりました。
以来、フランス本国のみならず、日本でも大人気に。
1964年からは『ファントマ』シリーズに出演しました。
親日家であり、日本映画『ヨーロッパ特急』『東京タワー』にも出演しました。

■
『上と下』(1959)
監督 ラルフ・トーマス
共演 マイケル・クレイグ、クラウディア・カルディナーレ
撮影 アーネスト・スチュワード

【あらすじ】
新婚ホヤホヤの建築家リチャードと社長令嬢のケイト。
ケイトの父でリチャードの上司であるマンスフィールドは2人に会社のお得意様接待役を任すことになり、家政婦を雇うよう指示をする。
しかし、雇う家政婦はいずれも問題を起こしてばかり。ほとほと疲れ果てた二人のもとにスウェーデンから若くて魅力的な娘イングリッドが現れる…

■
この映画のミレーヌが最もキュートではないでしょうか。

プラチナブロンドに、白い肌、丸みのある顔が、生き生きとフィルムに収められています。

ミレーヌは、メイド役として、ロンドンのブルジョア夫婦の家に住み込むことになる、地方出身の娘として登場するのですが、その夫婦の厚意により、パーティに登場するのですが、そのときの美しいデコルテを持つ、ミレーヌの目をみはるばかりの晴れやかな感じはどうでしょう。

その、やや性的なアピールと、喜怒哀楽の自然な発露のもつ可愛らしさは、先行する、同じフランス女優のブリジット・バルドーを思い出さずにはいられません。
そして、その源流というべきマリリン・モンローをも思い出させます。

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1950年代とは、マリリン・モンロー(MM)やブリジット・バルドー(BB)の時代だったのです。

その環境で、ミレーヌ・ドモンジョもスターとして輝いたのです。

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さかのぼると、第二次世界大戦の時代は、ピンナップの時代でありました。
そこで兵士たちに愛されたピンナップガールの代表は、戦前からの映画スターベティ・グレイブルです。

1950年代には、ピンナップガールのスターとしては、ベティ・グレイブルから、マリリンへの世代交代が起きたと考えられます。
(ベティは1916年生まれ、マリリンは1926年と、10歳も差があるのです)

1953年に、マリリンは『ナイアガラ』で一気にスターダムに上り詰め、世界的なブームを巻き起こします。
(奇しくも同い年の『百万長者と結婚する方法』では、マリリンとベティは共演しています)

アメリカでは、マリリンに続き、ジェーン・マンスフィールド(1933年生まれ)が登場します。
(『女はそれを我慢できない』1956)

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ヨーロッパでは、何と言っても、ソフィア・ローレン(1934年生まれ)でしょう。
彼女は、1957年からはハリウッドでも活躍します。(『島の女』, 1957)

フランスでは、ちょっとタイプが違いますが、(マリリンたちのように、体型を必ずしも強調していたわけではないのですが)コケティッシュな魅力を売りにしていたのは、フランスではフランソワーズ・アルヌール(1931年生まれ)です。
(『禁断の木の実』1951、『フレンチカンカン』1954)

そのフランソワーズをしのぐ人気を一気に獲得したのが、ブリジット・バルドー(1934年生まれ)です。
(1952年映画デビュー、1956年『素直な悪女』が大ヒット)

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このように、戦後から1950年代中葉にかけて、映画女優のタイプにおいて、大きな変化があったのです。

ハリウッドクラシックを支えてきた、成熟したレディとしての女優から、性的なアピールをもった、喜怒哀楽の自然な発露をもった、「素直な」瑞々しい女優へ。

1938年生まれのミレーヌ・ドモンジョは、そうした系譜に位置付けられます。
フランソワーズ・アルヌールから、BBを経て、ミレーヌ・ドモンジョへ。

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この映画でのミレーヌ・ドモンジョは、そうした魅力にあふれています。
彼女のスター時代はそれほど長くはありませんが、中でも最もその魅力が堪能できる映画です。

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本日9月29日のグリア・ガースンの生誕122年を記念して、彼女の作品を紹介します。(1904年9月29日生誕 - 1996年4月6日逝去, 92歳没)■『塵に咲く花』(1941)監督 マーヴィン・ルロイ撮影 カール・フロイント他共演 ウォル...
28/09/2026

本日9月29日のグリア・ガースンの生誕122年を記念して、彼女の作品を紹介します。
(1904年9月29日生誕 - 1996年4月6日逝去, 92歳没)

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『塵に咲く花』(1941)
監督 マーヴィン・ルロイ
撮影 カール・フロイント他
共演 ウォルター・ピジョン、フェリックス・ブレサート

テキサスで孤児のための”子供の家”を作り、出生証明書から私生児の文字を抹消させる法案の通過に尽力した実在の人物をモデルにした作品。

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ただただ、グリア・ガースンが素晴らしい作品です。

と言いましたが、ストーリーも感動的ですし、ルビッチの作品で知られるフェリックス・ブレサートの助演ぶりもよく、かなりの名作です。

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グリア・ガースンは、MGMで、グレタ・ガルボの後継女優として活躍しましたが、その領域の1つは、伝記映画でした。
『キュリー夫人』が最も名高いですが、こちらの作品もまた、伝記的な作品となります。

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撮影監督は、かのカール・フロイント。

フリッツ・ラングの『メトロポリス』をはじめとした、ドイツ表現主義時代の無声映画を経て、ハリウッドでは、一転、グレタ・ガルボの最高傑作『椿姫』や、ローレン・バコールの『キーラーゴ』などを手掛けています。
以上の作品は白黒ですが、今回はテクニカラーですが、素晴らしい撮影です。

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冒頭は、青いドレスを着たグリア・ガースンとマーシャ・ハントとの2人のショットが艶やかで、いかにもMGM的な華やかさに溢れています。

それにとどまらず、グリア・ガースンの美しい姿を存分に満喫できる作品となっています。

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本日9月28日は英国の女優ナオミ・ワッツの生誕58周年です。それを記念して、彼女の作品を紹介します。(1968年9月28日- イギリス・ケント州生まれ)■『マルホランド・ドライブ』(2001)監督 デヴィッド・リンチ共演 ローラ・エレナ・ハ...
28/09/2026

本日9月28日は英国の女優ナオミ・ワッツの生誕58周年です。
それを記念して、彼女の作品を紹介します。
(1968年9月28日- イギリス・ケント州生まれ)

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『マルホランド・ドライブ』(2001)
監督 デヴィッド・リンチ
共演 ローラ・エレナ・ハリング、アン・ミラー、メリッサ・ジョージ
撮影 ピーター・デミング

【あらすじ】
真夜中のマルホランド・ドライブで起きた車の衝突事故。
ただ一人助かった黒髪の女は負傷した体でなんとかハリウッドの街まで辿り着く。
女が隙を見て留守宅へ忍び込むと、そこは有名女優ルースの家だった。
女は直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。
とっさにリタと名乗った女を叔母の友人と思い込むベティだったが、すぐに見知らぬ他人であることを知る。
問い詰めるとリタは何も思い出せないと打ち明ける。手掛かりを求めて開けたバッグには大金と謎の青い鍵。
同情と好奇心からリタの記憶を取り戻す手助けを買って出るベティだったが……

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この作品には、クラシック期のハリウッド映画の断片から、女性2人による探偵物語を作り上げています。
それを、明るいブロンドの女優の卵と、記憶を失ったブルネットの謎の妖艶な女という、あるようでなかった組合せによって、華麗に演出しています。

1人は、ナオミ・ワッツ。
カナダからハリウッドに出てきた明るく純真な女優の卵という設定で、大きな瞳を輝かせ、いかにも「古典的なハリウッド映画に登場する田舎娘」をやや大げさに演じています。

もう1人は、ローラ・ハリング。
彼女は、記憶喪失のために、『ギルダ』のポスターのリタ・ヘイワースの名前を見て、リタと名乗ります。
黒髪、豊満なプロポーション、そして赤い唇という、フィルム・ノワールに登場する伝統的な「危険で魅惑的な美女」のルックスを見事に備えています。
そのブルネットの髪と、やや頬骨の張った美女ぶりは、リタ・ヘイワースというより、『哀愁の湖』のジーン・ティアニーそっくりです。

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この2人が、記憶喪失や大金の謎を追っていく、探偵物語ぶりは、フィルムノワールの古典的な展開を見るようですが、それが単にノスタルジックなハリウッドの真似ではなく、ブロンドとブルネットの女2人というイメージは、あまりにも蠱惑的です。
それは何か見てはいけないものを見たような思いにさせるのですが、レズビアン・ベッドシーンのときのことではなく、2人が顔を並べて画面を支配するときのことです。
そして、その後のシーンでは、ローラ・ハリングが死体を見たショックから髪を切ってもらい、ブロンドのウィッグをつけるとき、今度はショートヘアのブロンドの双子となり、めまいを起こさせます。

この2人が顔を寄せ合い、同じ画面に収まり、髪の毛の色の戯れを見るだけでも、この映画を観る価値があると言えます。
(ラストシーン直前に、2人の顔のクロースアップが夜景との二重写しとなっていて、感涙を誘います)

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なお、そうした瞬間が、後半の「現実の世界」において再び訪れます。

それは、「現実」のローラ・ハリングがナオミ・ワッツを捨てて、メリッサ・ジョージが演じるカミーラ・ローズを新しい恋人にして、2人が顔を並べてひそひそとささやきあい、キスをするシーンです。
決して長いシーンではないですが、この2人のじゃれあいこそが、ナオミ・ワッツの嫉妬の源泉であり、それが前半の妄想シーンを駆動しているとさえ言えるでしょう。

その意味で、女2人の顔の寄せ合いのような映像こそが、この映画の美学の最重要な力点であり、決してデヴィッド・リンチがばらまいた謎の仕掛けではないように思います。

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最後にもう一つ。

女優の卵を演じるナオミ・ワッツの驚くべき演技力が、劇中劇で発揮されています。
ナオミ・ワッツが、初のオーディション兼顔合せで、祖父のいるスタジオを訪れ、そこで年長の男優と一種の禁じられた恋のシーンを演じます。

そこでナオミ・ワッツが相手役の初老とも言える男優に顔をぴったりと寄せ、長々と唇を触れ合ったり、離したりという演技をします。
相手との間に息を呑むような濃密で官能的な空気を一瞬で作り出します。
横から捉えられたナオミ・ワッツの美しいブロンドのショートヘア、そして、彼女の表情や声のトーン、わずかな距離感の詰め方だけで映画的な瞬間を味わうことができます。

なお、この付かず離れずの長いキスシーンは『汚名』でのイングリッド・バーグマンとケーリー・グラントを意識しているのは、間違いのないことでしょう。

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9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。(1938年4月15日 - 2025年9月23日)それを記念して、彼女の作品を紹介しています。■『鞄を持った女』(1961)監督 ヴァレリオ・ズルリーニ共演 ルチアーナ・アンジェリ...
28/09/2026

9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。
(1938年4月15日 - 2025年9月23日)
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。

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『鞄を持った女』(1961)
監督 ヴァレリオ・ズルリーニ
共演 ルチアーナ・アンジェリロ
撮影 ティーノ・サントーニ

【あらすじ】
若くして夫を亡くし、未亡人となったアイーダは、リッチョーネのクラブで歌手として暮らしていたが、ある時マルッチェロという男に口説かれ、スカウトだと騙され、勝手にクラブを抜け出してパルマまで男の車でやってきた。
だが、マルッチェロはアイーダのことを遊びとしか考えておらず、途中でアイーダを置き去りにして去ってしまう。
逃げたマルッチェロを追いかけて家を訪れたアイーダは、彼の弟で16歳のロレンツォと出会う。
数々の男に騙されてきたアイーダにとって、純粋で思いやりのあるロレンツォは、彼女に初めて優しく接してくれた男だった…

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クラウディア・カルディナーレをスターダムに押し上げた作品と言われています。
この作品の監督のズルリーニが『芽ばえ』の脚本家であったことも無関係ではないでしょう。

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この頃のイタリア映画は、女優の輩出に長けていました。
『芽ばえ』(1957)ではジャクリーヌ・ササールを、『十七歳よさようなら』(1960)ではカトリーヌ・スパークを送り出しています。

■
1950年代にハリウッドのスタジオシステムが崩壊する中、1934年にヨーロッパに生まれたソフィア・ローレン、ブリジッド・バルドーが、戦後にふさわしい女性像を演じてきました。

そこでは、貴婦人や淑女が理想形としてみなされることはなく、むしろ、庶民出身の強い美人や、良家のおてんば娘のような存在が、自由に生きることが美徳とされるような世界観が多くを占めていました。

それは、セクシュアリティの大胆さの点においても、進んできたことは言うまでもないでしょう。

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さて、1960年代は、その余波として、フランスでは、ベルナデット・ラフォンやミレーヌ・ドモンジョ、アメリカではジーン・セバーグやジェーン・フォンダ、ドイツではロミー・シュナイダーといった新世代の女優たちが生まれました。

その1人が、クラウディア・カルディナーレであり、1961年は彼女がスターダムに上った年として記憶されるべきでしょう。

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この『鞄を持った女』のクラウディア・カルディナーレは、ドライブ中に尿意を催し、草むらへと駆け込むシーンで登場します。(直接的には描かれません)

また、海辺のカフェで昼から酔っ払い、ダンスの途中で男を突き飛ばし、悪態をつきながら、ふらふらと倒れ込みます。

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クラウディア・カルディナーレがそうした若さを見せてくれながらも、私たちの心を捕まえるのは、ただただスクリーンにおいて輝く姿であり、その大きな瞳と、ややへの字の唇と、美しい顎のラインが強く印象に残ります。

バストショットで捉えられるクラウディア・カルディナーレは、胸から下はあまり映されることがなく、体型が強調されているわけではありません。

ソフィア・ローレンのような力強さではなく、クラウディア・カルディナーレに感じるのは弱さであり、寄る辺なさです。

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今後、クラウディア・カルディナーレの魅力について、言語化していきたいと思います。

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9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。(1938年4月15日 - 2025年9月23日)それを記念して、彼女の作品を紹介しています。■『太陽の誘惑』(1960)監督 フランチェスコ・マゼッリ共演 ジェラール・ブラン撮影...
27/09/2026

9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。
(1938年4月15日 - 2025年9月23日)
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。

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『太陽の誘惑』(1960)
監督 フランチェスコ・マゼッリ
共演 ジェラール・ブラン
撮影 ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
脚本 アルベルト・モラヴィア他

【あらすじ】
イタリアのある町。伝統的な上流社会の伯爵や実業家を親に持つ若き御曹司たちは、「王位継承者(ドーファン)」と呼ばれ、高級車を乗り回して遊び呆け、酒と女に明け暮れる無気力な生活を送っていた。
ある夜、彼らはクラブで騒いだ後、女伯爵のケレの邸宅に集まった。
そこで実業家の息子のアンセルモの恋人マリーナが、過度の飲酒で錯乱してしまい、医師のマリオが呼ばれた。
マリオは、母と二人暮らしの娘フェドラのアパートを間借りしている新任の夜勤医師だった。
これがきっかけでマリオはフェドラと同伴で、ドーファンたちのパーティに招かれた。
貧しい暮らしのフェドラは上流社会に憧れを感じたが、マリオは性が合わなかった…

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1960年、クラウディア・カルディナーレは、『暗殺指令』、『若者のすべて』に続き、更にこの作品に出演します。

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この映画は、クラウディア・カルディナーレの瞳で始まり、彼女の瞳で終わる映画です。

脚本としてモラヴィアが参加しているように、貴族階級の退廃や倦怠を描いている作品です。

クラウディア・カルディナーレは、映画の冒頭部において、それを憧れをもって眺めているのが、映画の最後では、諦念をもって眺めるという組み立てになっています。

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それにしても、冒頭のクラウディア・カルディナーレの瞳の美しさ。
夜、灯のついた窓からの光からやや逆光気味に、窓辺に手をつく、クラウディア・カルディナーレが浮かび上がります。
髪の毛には、後光のように光が照らし、彼女の瞳には、街の明かりの反映のように光が小さく見えます。

なんという美しさでしょうか。

『暗殺指令』に引き続き、撮影はジャンニ・ディ・ヴェナンツォ。
後に、クラウディア・カルディナーレの『ブーベの恋人』『8 1/2』という傑作を撮る撮影監督ですが、いずれも息を吞むような美しさでクラウディアを描いています。

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なお、奇しくも、同じ1960年に撮られたイタリア映画として、アントニオーニの『情事』があり、
この作品から、アントニオーニと女優モニカ・ヴィッティとの愛の不毛三部作が作られることになります。
そこでのテーマもまた、倦怠でした。

この『太陽の誘惑』ではマゼッリとモラヴィアが、『情事』ではイタリアの巨匠アントニオーニが、それぞれ美しい女優を起用しながらも、イタリア的な風物にはほとんどキャメラを向けず、倦怠を語っているのです。

1960年のイタリアには、何があったのでしょうか。

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9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。(1938年4月15日 - 2025年9月23日)それを記念して、彼女の作品を紹介しています。■『ピンクの豹』(1963)監督 ブレイク・エドワーズ 共演 デヴィッド・ニーヴン、ピ...
27/09/2026

9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。
(1938年4月15日 - 2025年9月23日)
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。

■
『ピンクの豹』(1963)
監督 ブレイク・エドワーズ
共演 デヴィッド・ニーヴン、ピーター・セラーズ、キャプシーヌ
音楽 ヘンリー・マンシーニ
衣裳 イヴ・サン=ローラン

【あらすじ】
某国王女ドーラ姫が所有する巨大な宝石“ピンクの豹”。ある日、彼女はそれを身につけてアルプスへと向かった。
だが、巧手かつ狡猾な宝石泥棒としてヨーロッパ中でその名を轟かせている怪盗ファントムがその秘宝を虎視眈々と狙い、ドーラ姫に接近しようとしている。
一方、これまでファントムを追い続けてきたクルーゾー警部も、ファントムによるピンクの豹奪取を察知。
犯行を未然に防ぐため、ドーラ姫がバカンスを過ごすスキー場に乗り込むのだが…。

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絶頂期のクラウディアが、イヴ・サン=ローランをまとって登場します。
今日は写真だけにいたします。

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9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。(1938年4月15日 - 2025年9月23日)それを記念して、彼女の作品を紹介しています。なお、共演者のブリジット・バルドーも2025年12月28日に逝去しております。つまり、...
27/09/2026

9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。
(1938年4月15日 - 2025年9月23日)
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。

なお、共演者のブリジット・バルドーも2025年12月28日に逝去しております。
つまり、この作品の主演の2人の女優とも、この1年ほどの間に二人とも逝去したということとなります。

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『華麗なる対決』(1971)
監督 クリスチャン=ジャック
共演 ブリジット・バルドー
撮影 アンリ・ペルサン

【あらすじ】
19世紀末、ニュー・メキシコの一角を荒し、人々に恐れられていた武装強盗団の一味の正体は、セクシーな女ルイーズとその妹たちだった。
一方、一角のフランス系移民の住む町ブージバルには、マリアというとてつもないお転婆娘がいた。
ある日、武装強盗団は列車強盗で、とある牧場の契約書を手に入れた。
一方マリアは、その牧場のそばにある油田の地図を手に入れた。
そして、二人の美女は石油の眠る牧場をめぐり、大乱闘を繰り広げる!

■
共演者も女優ばかりの、ガールズ西部劇です。
若い娘だけの西部劇とは、映画史でもあまりないのではないでしょうか。

■
何と言っても、C.C.ことクラウディア・カルディナーレと、B.B.ことブリジッド・バルドーとの競演が見どころでしょう。

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BBとクラウディアが西部劇?というので、笑ってしまいますが、BBも、お色気が売りではなく、あくまでも大人の女としての魅力で、映画としての仕上りも、初期のBBの作品のように安っぽくありません。
黒いレザーが強く印象に残ります。

好事家が喜びそうなC級映画ではなく、上質な映画で楽しめます。

エレガンスとは無縁ですが、たまにはこうしたものも楽しいかもしれません。
94分でさらっと終わり、観てすがすがしさが残ります。

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本日9月27日は、伝説的な女優クララ・ボウの没後61周年です。(1905年7月29日生誕 - 1965年9月27日死去)それを記念して、クララ・ボウの作品を紹介いたします。■クララ・ボウ / Clara Bow1905年 ニューヨーク市ブル...
26/09/2026

本日9月27日は、伝説的な女優クララ・ボウの没後61周年です。
(1905年7月29日生誕 - 1965年9月27日死去)
それを記念して、クララ・ボウの作品を紹介いたします。

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クララ・ボウ / Clara Bow

1905年 ニューヨーク市ブルックリンに生まれ。
16歳の時に雑誌の美人コンテストで優勝し、翌年、映画デビュー。
『酒』(1924年)で 初の主役になり、当時流行していた‟フラッパー”スタイルを代表する女優の1人として人気を博す。
パラマウント映画と契約し、『あれ(IT)』(1927年)が大ヒット。‟IT ”(イット)は、「セックスアピール」の意味。
以後、‟It Girl ”(イッ ト・ガール)と呼ばれる。
その後スキャンダルにより、1933年に引退。

■
この作品はクララ・ボウの人気絶頂期の作品です:

■
『つばさ』(1927) ※第1回アカデミー賞作品賞
監督 ウィリアム・A・ウェルマン
共演 チャールズ・ロジャース
撮影 ハリー・ペリー

【あらすじ】
中西部の田舎町育ちのジャックは土地の富家の娘シルヴィアを恋するが、隣家のメアリーの彼への思幕に気付かなかった。
そして、シルヴィアは名家の御曹子デヴィッドと相思相愛の仲。
やがてアメリカ参戦。
奇しくも恋を競うこの好敵手同士が同じ飛行機隊に入った……

■
今回は作品紹介ではなく、クララの女優史における存在について、述べたいと思います。

■
赤毛の女優ということで、リタ・ヘイワ―ス、ジュリア・ロバーツ、ニコール・キッドマン、エマ・ストーンに至る赤毛の系譜の源流に位置する女優です。
(なお、ベティ・ブープのモデルの1人です。もう1人はヘレン・ケーンと言われています)

■
また、セクシー女優の源流に位置する存在です。

・セダ・バラ(1885年生まれ)
・メイ・ウエスト(1893年生まれ)、ニタ・ナルディ(1894年生まれ)
・クララ・ボウ(1905年生まれ)

以上のように更新されてきたハリウッドのセックスシンボルの第3世代です。

なお、クララ・ボウの次は、以下のように続きます:

・ジーン・ハーロウ(1911年生まれ)
・ベティ・グレイブル(1916年生まれ)
・ラナ・ターナー(1921年生まれ)
・マリリン・モンロー(1926年生まれ)
・ジェーン・マンスフィールド(1933年生まれ)

■
ところで、テイラー・スウィフトの最新作『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』の最後にその名も『クララ・ボウ』という曲が収められています。

クララ・ボウがアメリカ女優史の端緒にいるセックスシンボル的な存在であったこと、そして、その成功の絶頂からあっという間に没落してしまったことに、テイラーはインスパイアされたように思います。
この曲は、エンターテインメント業界の女性アイコンを囲む環境の厳しさについて歌っているように思います。

ライナーノーツの歌詞の直訳だけ読んでもあまり分からないので、思い切って超意訳してみました。
超意訳:

レコード会社の大物との会話。まだ私が成功する前のこと...

大物「こうやって照明当てると、君はクララ・ボウやスティーヴィー・ニックスそっくり! こんな風にスターとして見いだされるなんて、想像できなかったでしょ?」

私「大げさに聞こえるかもしれないけど... スターになれるたら、嬉しくて私死んじゃうわ。私の地元の人たちは、ニューヨークデビューなんて期待しちゃいなかったわ。」

大物「君の地元の街は偽物だけど、君は本物さ。神がかっているよ。新しい土地に移って、空気を吸おう。まぁぁぁ、煙も多いけどね・・・ サクセスを掴みなよ。成功は約束されているよ。夢は叶うよ。」

美しさとは、無限を要求する、人間を超えた何者かであって、まるで獣のよう。

さてさて、君たちガールズ、サクセスしたがっているようだけど、
君たちの美しさが開花したときに、業界の人たちは次のようなことは教えてくれなかったでしょ。

君たちのように天使みたいな存在でいるのは「地獄のように大変だ」って。
ボリス・ジョンソンのあのセリフみたいに「しょうがない」って。「夢なんて叶わない」って。

最近じゃ、業界の人たちは、こう言ってるみたいよ。

大物「こうやって照明当てると、君はテイラー・スウィフトそっくり! 彼女にはいくつか問題あるけど、君にはそれが無いし。夢は叶うよ。」

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9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。(1938年4月15日 - 2025年9月23日)それを記念して、彼女の作品を紹介しています。 ■こちらは、クラウディアが初めて出演したヴィスコンティの作品です。■『若者のすべて』...
26/09/2026

9月23日はクラウディア・カルディナーレの没後1周年でした。
(1938年4月15日 - 2025年9月23日)
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。 

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こちらは、クラウディアが初めて出演したヴィスコンティの作品です。

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『若者のすべて』(1960)
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
共演 アラン・ドロン
撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽 ニーノ・ロータ

【あらすじ】
南部で貧窮にあえいでいたパロンディ家は、先に北部の大都市ミラノに出稼ぎに来ていた長兄ヴィンチェを頼って、老いた母と兄弟4人でやって来る。
長兄には同郷出身の婚約者ジネッタがいたが、田舎出の彼らに対する風当たりは厳しいものだった。
次兄シモーネは三男のロッコと共にプロ・ボクサーを目指しジムに入ったが、娼婦ナディアに夢中になり、自らその可能性を潰して、自虐の一途を辿り、ナディアは突然彼の前から姿を消す。
一方ロッコはクリーニング店で地道に働くが徴兵され、寄宿地で偶然にナディアと出会い、ロッコの優しさに触れた彼女は急速に彼と愛し合うようになる。

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この作品ではクラウディアは、助演的な存在です。

この後、『山猫』(1963)、『熊座の淡き星影』(1965)、『家族の肖像』(1974)と、ヴィスコンティの作品に出演し続けます。

■
さて、以下はクラウディアと関係のない話です。

ヴィスコンティは、ネオレアリズモの運動のなかから出てきました。
ネオレアリズモの主な監督としては、ロッセリーニ、デ・シーカ、ヴィスコンティがいます。
それぞれ、1940年~42年にこぞってデビューをしています。

そうした監督によるネオレアリズモのブームは、戦後直後~1950年代初頭の間です。
代表的なのは以下の3作品です。
  『無防備都市』(ロッセリーニ、1946)

  『揺れる大地』(ヴィスコンティ、1948) 
  『自転車泥棒』(デ・シーカ、1948)

ネオレアリズモは、世界映画史において最も偉大な運動でした。
それは、スタジオでの産業的な映画製作を脱し、街の真実を切り取る低予算映画でした。

(なお、3人の監督とも「独立派」ではありません。
 ロッセリーニはファシズムのプロパガンダ映画に助監督として参加しています。
 デ・シーカは、サイレント末期からの2枚目スターでした。
 ヴィスコンティは、舞台俳優兼美術担当や、ルノワールの助監督をしていました)

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ネオレアリズモ一般的なイメージは「戦後荒廃した大地に生きる庶民を映す」というものでした。
確かに上記の3作品はそうした傾向が顕著です。

そして、ヴィスコンティの『若者のすべて』は、ネオレアリズモの集大成的な作品ではあります。
クラウディア・カルディナーレだけでなく、アラン・ドロンというスターが出ているのですが、ネオリアリズモ運動が目指していた素人の役者を用いて、庶民の現実を写し取るという手法は、殺風景なミラノを舞台に生きています。

レナート・サルヴァトーリのくだりはなかなか観ているのが辛いのが正直なところですが、決して悪くない仕上がりです。

この後、ヴィスコンティは、華麗に貴族的なヴィスコンティに変貌していきます。

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本日9月26日は、イタリアの伝説的な女優アンナ・マニャーニの没後53周年です。(1908年3月7日生誕-1973年9月26日死去, 65歳没) それを記念して、アンナ・マニャーニの作品を紹介します■こちらは、アンナ・マニャーニの傑作にして、...
26/09/2026

本日9月26日は、イタリアの伝説的な女優アンナ・マニャーニの没後53周年です。
(1908年3月7日生誕-1973年9月26日死去, 65歳没)
それを記念して、アンナ・マニャーニの作品を紹介します

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こちらは、アンナ・マニャーニの傑作にして、ルノワールの傑作でもあります。

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『黄金の馬車』(1953)
監督 ジャン・ルノワール
撮影 クロード・ルノワール
共演 オドアルド・スパダーロ

【あらすじ】
18世紀初頭南米のスペインの植民地。総督府に到着したきらびやかな黄金の馬車。
同時にドン・アントニオが座長をつとめる"コメディア・デラルテ"一座もやってきた。
黄金の馬車に沸き立つ貴族たち、そして一座は舞台の準備に大わらわ。
やがて一座の花形女優カミーラをめぐって、総督フェルディナン、闘牛士ラモン、騎士フェリペの恋の大騒動の幕が開く。

■
当SNSでは、カトリーヌ・ドヌーヴを中心的に取り上げています。
それは、まったくもって個人的な趣味の理由です。
演技派の女優に少し食傷気味であるため、嗜好がクールビューティに傾いているからです。

しかしながら、そうした個人的な趣味の問題を超えて、映画女優に絶対に必要なものは、演技力ではなく、スクリーンで発揮される美しさだと思っています。

大根役者と言われようとも、高倉健やジョン・ウェインやジャン・ギャバンが優れた役者であり、
いかに演劇界で評価が高くとも、ローレンス・オリヴィエは映画男優としてはいま一つなのは、そうした理由によります。
演劇と映画は違うのです。

■
さて、このような次第で、クールビューティを中心に女優たちを取り上げてきました。

今回はアンナ・マニャーニを取り上げています。
しかし、彼女は、カトリーヌ・ドヌーヴと対極の位置にあります。

いわゆる美人女優ではありませんし、イタリア女優ですがモードと何の関係もありません。
髪も黒髪で、スタイルはふくよかなタイプで、スリムではありません。
人によっては、演技派に分類するでしょう。

■
ところが、アンナ・マニャーニは、私たちを圧倒します。
いわゆる「演技派」女優の感情を押し付けてくるような辛気臭さとは無縁です。

イタリア的な---と言ったら実に陳腐なのですが---、強い肯定性が、アンナ・マニャーニから溢れて出ているのです。

この女優に対して、言葉はあまりに無力です。

■
「ルノワールがこれだけはやってみたいと思っていたのは、アンナ・マニャーニが誇り高い笑みを浮かべて馬車から降りる瞬間の、黄金の馬車全体がみせる小刻みな震えであるに違いない。
その精巧なスプリング装置のはしたないほどの機能ぶりを目にして、すぐさま豪華なベッドを想像したなどとはいうまい。

だが、ここでのルノワールは女に繊細極まりない「震動」を贈物として棒げているのであり、マニャーニもまた、その「震え」に進んで全身を委ねようとする。

『黄金の馬車』が「映画を超えた何ものか」であるのは、もっばらその個人的な性格による。
ルノワールとマニャーニとは、夫婦でもあった名高い監督と女優のいかなるカップルにもまして、男女の出会いの喜びをあっけらかんと謳歌しあっているのである。
これはどのあられもなさがはたして許されて良いのかと、ふと不安に襲われぬでもないが、上映が終ったとき、あらゆる人が
それを許しているのは、いったい何故なのか。
映画が終ろうとする瞬間、アンナ・マニャーニがイタリア訛りのフランス語で「ちょっと惜しい気がするわ」とつぶやくとき、彼女は「色彩」と「運動」としての黄金の馬車との別れを懐かしんでいるかのようだ。
その言葉を耳にして、総てを許さずにいることなど、いったい誰にできようか。」
(蓮實重彦)

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住所

Minato-ku, Tokyo
1070061

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