日本イギリス法研究所 Institute of English and Japanese Laws

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イギリス法の研究をしています。

日本、イギリス、法律、政治、外交、安全保障、歴史に関心のある方におすすめです。

準拠法としてのイギリス契約法の重要性はいうまでもありません。
現代ロンドンは国際ビジネスの一つの中心であり、国際商事仲裁センターの一つです。
イギリス法は、アメリカ法の歴史的母法としての価値だけでなく、現代的価値も大きいです。
現代イギリス法は、決して現代アメリカの後追いをしているわけでも、現代ヨーロッパ大陸法の後追いをしているわけでもなく、その独自の発展と選択は、日本にとっても示唆に富むところがあります。

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日本と同じ? イギリスでも法律上は「軍隊の保持」が禁止されている――今こそ、自衛隊と憲法9条について議論しよう。リベラルが読むべき1冊、保守が読むべき1冊とは。 | 集英社 25/10/2025

イギリスでも法律上は「軍隊の保持」が禁止されている?!
https://shueisha.online/articles/-/251219

まさか、わたしの著書が紹介されているとは。

ただ、私が言っているのは、より正確には、イギリスでは、「法律上」ではなく、「憲法上」、軍隊の「保持」だけでなく「徴集」も「原則として」禁止されているということです。つまり、憲法が軍隊の徴集・保持を原則禁止して、法律が、例外的に有効期間を限定した上で、軍隊の徴集・保持を合法化しているという意味です。

ここで、「憲法」とは、多元的なイギリス憲法の法源の1つ、1689年「権利の章典」第6条を指します。

“That the raising or keeping a standing Army within the Kingdome in time of Peace unlesse it be with Consent of Parlyament is against Law.”

https://www.legislation.gov.uk/aep/WillandMarSess2/1/2/introduction

「王国内において平時に常備軍を徴集又は保持することは、議会の同意のない限り、違法である。」

権利の章典は、上記の連合王国議会のオンライン法令集にan Act declareing the Rights and Liberties of the Subject and Setleing the Succession of the Crowne(臣民の権利と自由を宣言し王位継承順位を定める法律)という正式名称があり、議会立法の形式を採用しています。

但し、次のような事情から、この「立法」は「憲法」と言って過言ではない地位を獲得しているといえます。まず、採択した議会は、正式な手続を経て国王が召集した議会ではなく、名誉革命において「超法規的」に前議会の議員たちが集まった議会Convention Patliamentでした。

次に、歴史的に権利の章典6条の「常備軍」が拡大解釈されて、陸軍Armyだけでなく、海軍も空軍も同様に、12ヶ月毎に、議会両院の賛成投票を得た勅令によりその根拠立法の効力が更新されて来ました。根拠立法も5年おきに議会の正式の立法手続を経て制定され直して来ました。例えば、現時点では、2021年のArmed Forces Act(軍隊法)が、そういう勅令によってその効力をこれまでに4回延長されています。2021年軍隊法の内容は2006年軍隊法で一新されたものです。それまでは、1955年の陸軍法と空軍法(Army ActとAir Force Act)及び1957年の海軍統制法(Naval Discipline Act)の内容を持つ3組の法律を5年おきに立法し直し、毎年、その効力を、議会両院の賛成投票を得た勅令によって12ヶ月毎に延長して来ました。このような「立法慣行」は、法形式に拘らず、議会が従う「上位法」(憲法)の存在を物語るもので、権利章典6条の周りに、慣習上の憲法規範が生成されていると捉えられます。

では、なぜ、イギリスでは常備軍の徴集と保持がなぜ原則憲法違反なのでしょうか?

それには、それなりの歴史があります。

1. 常備軍は絶対王政の道具であり、臣民の自由の敵でした。今のアメリカ合衆国の「裸の王様」トランプ大統領が、民主党の勢力の強い州の州兵を使って、国益ではなく、党派的な利益というか、「いじめっ子」としての欲求を満足させるために、圧力をかけているのと同じです。
2. 常備軍というものは制御が効かず暴走する宿命を負っています。常備軍に「就職」する人にとっては、戦争が稼ぎを、平和が失業を、それぞれ意味しますから、当然です。実は、イギリスでは国王の常備軍に対抗して議会も常備軍を徴集・保持し、チャールズ1世の時の内戦で国王の常備軍を撃ち破りました。しかし、議会の常備軍も、やはり暴走したのです。常備軍は、産みの親の議会を解散させ、国王をも殺害し、どこまでも際限なく戦い続け、「万人の万人に対する闘争」となりました。そして常備軍の司令官自身が王政復古によってイギリスに法と秩序を回復する道を選ぶに至りました。この議会常備軍の暴走という苦い経験から、常備軍の根拠立法を効力12ヶ月の時限立法にする立法技術が編み出されました。
3. イギリスは、名誉革命において、結果的に外国(オランダ)君主を自国の君主として迎える羽目になったので、イギリスの臣民が、オランダの第三国(フランス)との戦争に自動的に巻き込まれる危険が出て来ました。そのため、イギリス議会としては、国王による常備軍の徴集と保持について同意権を確保して、外国出身君主による、イギリスの国益とは相反する権力の濫用を、抑止する必要がありました。

上記のイギリスの議会による常備軍の統制(これは実態の上で上位法による議会立法の統制を意味する)は、議会議員には職業軍人はいないので、軍の文民統制を憲法構造の上で確保する意味を持ちます。

以上のことはイギリスという日本とは異なる外国の事例であることは、いうまでもありません。だからといって、日本には全く縁もゆかりもない話なのでしょうか?

例えば、「軍隊は暴走する」と言われれば、日本の昭和前期の苦い経験は、そういうものだったように思えませんか?

だからと言って、軍隊を無くして済むものでしょうか?

無くして済むものではないからこそ、自衛隊があるのではありませんか?

それが現実だと思います。

それに、終戦のあり方からしても、米英連合軍が日本本土に進駐し、サンフランシスコ平和条約の発効に伴い、その進駐が解除された後も、日米安全保障条約の下で米軍が日本に駐留することが、今や常態化しています。そのため、日本政府の意思ではなく、外国の意思で、日本の自衛隊が動員される危険性というものも、ないとは言えません。この危険性は、名誉革命でオランダ君主を自国の君主に迎えたイギリスにとっての、イギリス臣民を外国同士の戦争(オランダとフランスの戦争)に動員してしまう危険とよく似ていませんか?

こういうと、日本も、イギリスのように憲法で軍隊の保持を禁止して、法律(自衛隊法)で例外的な軍隊(自衛隊)を保持しているではないかという人がいるかも知れません。しかし、問題は、憲法9条2項の禁止規定にはイギリス権利章典6条のような限定がなく、国会立法があれば、「陸海空軍その他の戦力」を「保持」しても良いと言えるだけの「例外」を設けられる余地がないことなのです。

こういうと、日本国民の中には、「(憲法9条1)項の目的を達成する」手段として2項があり、だから「国際紛争の解決」ではなく、自衛の「手段」としての「武力による威嚇または武力の行使」は「放棄」していないから、その「目的を達成するために」自衛隊を保持できるという解釈をする人が少なくありません。しかし、そういう人は、それが、歴代の政府解釈ではないことには無頓着です。政府解釈は、あくまでも、自衛隊が憲法が禁じる「戦力」に当たらないというもので、9条2項の目的規定には重きをおいていません。そして、政府解釈は、1947年当時の米陸軍省による軍隊と警察の峻別基準、すなわち「155ミリ榴弾砲」の保持・不保持に依拠した警察予備隊の設立時の正当化をそのまま惰性的に踏襲しているのに過ぎません。

「155ミリ榴弾砲」は、口径からすれば、戦艦大和の副砲と同じです。しかも、2022年2月に始まったロシア軍のウクライナ侵攻に際して、アメリカが155ミリ榴弾砲を「越境攻撃が可能な攻撃用兵器」に分類して、しばらくの間、ウクライナへの供与を断固として拒否したように、現代的な意義を失ってはいません。携行式対戦車ミサイル、ジャヴェリンなどなら、「民兵」の武装と言えるので、国軍とは区別できるが、155ミリ榴弾砲は、もはや国軍の武装であるという論法です。実は、自衛隊は発足当初から155ミリ榴弾砲を通常装備しています。つまり正真正銘の軍隊です。

従って、日本政府による自衛隊の装備の憲法9条適合性の解釈は、国際的には通じない、純粋に国内向けの欺瞞に過ぎません。日本の憲法解釈の最高で最終の権威である最高裁判所も、北海道長沼における自衛隊の地対空ミサイル基地建設をめぐる訴訟において、札幌高裁の合憲判断に賛成しなった(憲法判断を回避して農林大臣による保安林指定の解除をめぐる森林法の規定の解釈問題として解決した)という意味において、日本政府解釈を決して是とはしていないのです。

なぜ、「国民主権」の国で、国民が、間違った政府解釈に対して、「思いやり」で我流の合憲解釈を展開して、統治機関の誤謬を大目に見ようとするのでしょうか?

イギリスの権利章典6条にならえば、憲法9条2項の前段は、例えば「陸海空軍その他の戦力は、国会の同意がない限り、これを保持しない。」と改正し、後段は削除するという改正によって、自衛隊その他の名称にはこだわらずに、現代の日本を取り巻く厳しい国際環境に対応するのに必要な軍備を合法的に整えることができます。

逆に、憲法9条の2項全体を削除して代わりにそこに自衛隊などを「明記」すると、憲法の章立ての上で国民の権利義務の前に「軍」を置き、国会、内閣、裁判所よりも軍を優先させることになります。それでは、明治憲法よりも、昭和前期の憲法的実践の方に近くなります。

「自衛隊を憲法に明記せよ」とは、戦後のドイツ憲法(Grund Gesetz)の請け売りに過ぎません。しかも、当のドイツ基本法は、上記のようなトンデモナイ章立てにはなっていません。

むしろ日本国憲法の章立ては、天皇を頂く大日本帝国憲法の章立てを継承しており、共和制で連邦制のドイツ基本法とは根本的な構造を異にしています。昭和の憲法改正の結果、日本国憲法は、帝国憲法に比べて、国会の強いイギリス憲法に近くなりました。この点、イギリス権利章典6条は、臣民の権利と自由を宣言するという趣旨において、国王の常備軍の徴集・保持に対する議会の同意権を明記した規定なので、それと同趣旨の規定を日本国憲法の第1章天皇と第3章国民の間におくことは、共和制・連邦制のドイツの例にならうよりも、はるかに国情に即した「穏健」な改正と言えるでしょう。

日本と同じ? イギリスでも法律上は「軍隊の保持」が禁止されている――今こそ、自衛隊と憲法9条について議論しよう。リベラルが読むべき1冊、保守が読むべき1冊とは。 | 集英社 ノンフィクション本の新刊をフックに、書評のような顔をして、そうでもないコラムを藤野眞功が綴る〈ノンフィクション新刊〉よろず帳。今回は、自民党と朝日新聞の双方から頼られる「憲法学界の権威」の矛盾を衝く木...

For Women Scotland Ltd (Appellant) v The Scottish Ministers (Respondent) - UK Supreme Court 24/09/2025

長らく更新していませんでしたが、2025年4月16日のイギリス(連合王国)最高裁判決、For Women Scotland Ltd. v. Scottish Ministers (上告人対被上告人の順)ニュートラル・サイテーションで[2025] UKSC 16のリンクを貼ります。

春先の判決で、リンクを貼った最高裁の説明文によると直接的にはスコットランド法の解釈問題のはずですが、連合王国全体に適用されている2010年平等法Equality Act 2010における「性別」(sex)や「女」(women)という語句の解釈についての疑義を、「生物学的」(biological)な意味に限るという明快な解釈を示して解決した最高裁判決ですから、その効果は、王国全体に及びます。もう秋分の日も過ぎましたが、まだ、同法の施行に責任を持つ同国の平等及び人権委員会 (Equality and Human Rights Commission)から本格的なガイダンスは出ていません。年末までには出る予定らしいです。

イギリス法では、憲法に当たる法規範が、色々な法形式で多数存在して、わかりにくいですが、2010年平等法という法律(議会立法)は、内容的にその1つですから、日本式に、敢えて誤解を恐れずに言えば、重要憲法判例の1つに当たると思われます。

今月になって、学校向けに、解説文が出ていたのでそのリンクも貼ります。

これまで、生物学的な男が女子トイレ、女子シャワー室、女子更衣室を使う権利を声高に主張し、性犯罪の女性被害者向けの施設を「トランス女性」が運営し、これに文句を言った女性が「人権を侵害する反社会的で間違った思想の持主」として解雇されるなどの、一昔前なら、とても「正気の沙汰」とは思えない社会の混乱は、この判決で収まるかと思ったのですが、どうも、トランス女性の裁判官が、自身の訴訟参加を最高裁が認めなかったことの手続的違法を主張してヨーロッパ人権裁判所に提訴したそうです。

https://www.kennedyslaw.com/en/thought-leadership/article/2025/the-implications-of-the-decision-for-women-scotland-v-scottish-ministers-on-the-definition-of-a-woman/

英最高裁判決は、やはり司法判断ですから、アメリカ合衆国の現大統領のような乱暴な言説とは異次元のもので、注目に値します。ただ、英最高裁判決にも、疑問はあります。例えば、日本でも話題になっていますが、XY遺伝子で、本人も思春期までは男としてプロ野球選手を目指して頑張ってきたが、中学生になるくらいから、ホルモンの非典型的分泌により、身体が勝手に女の体型に変化して、大学生になってから、学友に身体のことで揶揄われるのが嫌で退学してしまい、社会人になってからも苦労は絶えず、ついに医者に相談すると、女として生きるか、男として生きるか、二者択一を迫られ、その頃はもう生殖能力もないし、男として生きる自信も失い、脳もホルモンの影響で女性化していたので、女性を選び、立法趣旨には全く合わないけれども、仕方がないので、いわゆる「性同一性障害者特例法」を流用して、法的な性別を男性から女性に変えた人、また、その逆パターンの人などの存在です。こういう人の性別(自分が好きで転換したわけではなく、ホルモン分泌による生来の性別とは反対の性別への身体の変化が惹き起こした諸問題を解決するための性転換「治療」)も、英最高裁判決にならって遺伝子レベルで決まるとすると、困るのではないでしょうか?

https://supremecourt.uk/cases/uksc-2024-0042

For Women Scotland Ltd (Appellant) v The Scottish Ministers (Respondent) - UK Supreme Court Is a person with a full gender recognition certificate (“GRC”) which recognises that their gender is female, a “woman” for the purposes of the Equality Act 2010 (“EA 2010”)?

04/08/2018

連合王国最高裁:遷延性意識障害の患者に対する臨床的栄養水分補給の中止についての裁判所の許可は、医師と家族の合意がある場合は不�https://www.supremecourt.uk/cases/docs/uksc-2017-0202-judgment.pdf
>An NHS Trust v Y (Official Solicitor) [2018] UKSC 46
←1993年のブラント事件貴族院判決Airedale NHS Trust v Blant [1993] AC 789
>Clinically Assisted Nutrition and Hydration ← 人工的栄養水分補給artificial hydration and nutrition
>代諾
>Mental Capacity Act 2005

www.supremecourt.uk

Update on the UK law on consent 03/02/2018

連合王国最高裁のモンゴメリー判決の射程についての注意
Montgomery v Lanarkshire Health Board [2015] UKSC 11; [2015] AC 1430

2015年3月11日の連合王国最高裁のモンゴメリー判決はインフォームド・コンセントをめぐる専門職の注意義務について、従来のボーラム基準(Bolam v Friern Hospital Management Committee [1957] 1 WLR 583, 587)を変更し、専門職は、自らの提案に関する重要な(material)な危険および合理的な別の選択肢について依頼人が理解した上で同意(インフォームド・コンセント)できるように情報提供する義務があるとした。

なお、ボーラム基準とは、「専門職は、該当分野において責任ある職能団体のいずれか1つが適切であると見なしている処置ないし処理をしていたのであれば、(当時よりよい処置ないし処理が他に存在していたとしても)それは注意義務に違反したとはいえない」とするものである。つまり、専門職一般の注意義務に関する基準で、インフォームド・コンセントに限られるものではない。

これに対して、モンゴメリー判決は、インフォームド・コンセントに関する限り、もはやボーラム基準は適用せず、別の基準を適用するというものである。その別の基準とは、2008年の全国医療評議会(General Medical Council)のガイドラインの基準である。これは医師・患者関係におけるインフォームド・コンセントの基準であるが、2015年のモンゴメリー判決を経て、すでに証券取引・投資の分野でも適用例がある。
O’Hare & ors v Coutts & Co [2016] EWHC 2224 (QB)

実は、ボーラム基準であれ、モンゴメリー判決であれ、直接の事案は医師・患者関係におけるものであったため、医事法の専門家の間で、モンゴメリー判決の射程をめぐって、ボーラム基準を診断、処置、危険の告知の三分野の全てにおいて塗りかえたと誤解する向きもないわけではないようだ。しかし、モンゴメリー判決の判例報告ではボーラム判決と区別した(distinguished)としか書いていない。塗りかえた(overrule)とは書いていないのである。

実は、ボーラム基準そのものが、すでに以前から医師の注意義務の判例にとどまるものではなく、広く専門職一般の注意義務の基準になっていたので、モンゴメリー判決の射程も、広く専門職一般のインフォームド・コンセントについてボーラム基準はもはや適用されないという意味であって、インフォームド・コンセント以外の専門職一般の専門職能に直接関係する注意義務の文脈では、ボーラム基準は今でも妥当しているので、注意が必要である。

医事法の分野では次を参考にしてほしい。
British Medical Journal
“Last week’s case of Montgomery v Lanarkshire Health Board has important implications for doctors” BMJ 2015;350:h1481. Retrieved February 3, 2018 from
http://www.bmj.com/content/350/bmj.h1481.full
“The law on informed consent has changed following a Supreme Court judgment” Medical Protection (2015, March 20) Retrieved February 3, 2018 from
www.medicalprotection.org/uk/for-members/news/news/2015/03/20/new-judgment-on-patient-consent

Update on the UK law on consent Observations Ethics Man Update on the UK law on consent BMJ 2015; 350 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.h1481 (Published 16 March 2015) Cite this as: BMJ 2015;350:h1481 Article Related content Metrics Responses Peer review Daniel K Sokol, practising barrister and medical ethicist, 12 King’s Bench W...

29/07/2017

警察の申立による刑事訴追に不都合な専門家証人の「魔女狩り」と批判された医師懲戒手続に対する上訴審のスピード。医師免許剥奪決定から上訴による同決定破棄まで8ヶ月未満。昨年の事件ですが、備忘録です。オックスフォードのジョン・ラドクリフ病院のWaney Squier医師。もともと、2007年の乳児の揺さぶりによる傷害致死被疑事件(ヘンダーソン事件)の陪審裁判で、訴追側の専門家証人として出廷。彼女の証言というか「専門家意見」を聞いて、2人の陪審員が、BBC Radio 5 LiveとThe Times紙に、冤罪の危険を訴えたのが、注目の発端でした。



2016年11月3日、揺さぶりっ子症候群の3兆候の診断をもって揺さぶりの決定的証拠とする刑事訴追に専門家証人として疑問を投げかけ、偽証により懲戒、医師免許を剥奪された小児科医が高等法院へ上訴し逆転、医師免許を回復。医師免許剥奪から8ヶ月、裁判のスピードに注目。
Dr Waney Squire v The General Medical Council [2016] EWHC 2739 (Admin) Mitting J
Medical Act 1983
キーワード: 専門家証人、偽証、医師免許剥奪、高等法院、揺さぶりっ子症候群
http://www.bailii.org/ew/cases/EWHC/Admin/2016/2739.html

2016年3月21日、揺さぶりっ子症候群に疑問を投げかけた専門家証人、偽証により、懲戒、医師免許剥奪
http://www.bbc.com/news/uk-england-oxfordshire-35862609

2015年2月13日、一般医療審議会の懲戒手続きに対する高等法院の司法審査
揺さぶりっ子症候群(non-accidental head injury)の3兆候に依存した刑事訴追に疑問を投げかけた専門家証人に対する警察の申立による懲戒手続
R (on the application of Waney Squier) v The General Medical Council [2015] EWHC 299 (Admin)
http://www.bailii.org/ew/cases/EWHC/Admin/2015/299.html

2010年6月17日、揺さぶりっ子症候群の3兆候に依存した刑事訴追で有罪の子守の控訴棄却
未発見の原因の可能性
専門家証人同士の議論(専門家証人手続)
Keran Henderson v R [2010] EWCA Crim 1269
http://www.bailii.org/ew/cases/EWCA/Crim/2010/1269.html

2007年11月13日、レディング刑事裁判所で子守が乳児揺さぶりによる傷害致死で有罪評決を受ける。10対2。ヘンダーソン事件
Case No. 2007/6546/D4
The Hon. Mr. Justice Keith
T20067156

cf
2009年5月13日、ヘンダーソン事件の揺さぶりっ子症候群をめぐる専門家証言と陪審裁判のあり方を批判した陪審員長とタイムズ社が、陪審評議内容の暴露により、裁判所侮辱罪で有罪判決
HM Attorney-General v Seckerson and The Times Newspapers [2009] EWHC 1023 (Admin)
http://www.bailii.org/ew/cases/EWHC/Admin/2009/1023.html

www.bailii.org Subject to one point, it is not suggested that sub-section (2) has any bearing on the outcome of the present application.

29/07/2017

2017年7月26日、連合王国最高裁判所が、王冠(UNISONの申立)対大法官事件で、2013年以来課されていた雇用審判所の利用料を、EU法などに違反しているという理由で無効と判断。利用料が差別や妊娠解雇など女性被用者の利用頻度の高い訴えについて高額になる傾向があったことから女性に対する間接差別も認定。すでに支払われた全料金約3200万ポンドの返還を命じました。7人法廷全員一致で、控訴院、高等法院の判断を覆しました。
R (on the application of UNISON) v Lord Chancellor [2017] UKSC 51

キーワード、労働法、EU法、間接差別、女性差別

判決のリンクhttps://www.supremecourt.uk/cases/uksc-2015-0233.html
ビデオもあります。

利用料の導入で、申立件数が毎日約5000件台から1500件台へ79%落ち込んだグラフ(出典BBC http://www.bbc.com/news/uk-40727400)

女性間接差別について、少し詳しく
https://www.doyleclayton.co.uk/resources/recent-cases/supreme-court-rules-employment-tribunal-fees-unlawful/

間接差別にもう少し詳しく
https://www.citizensadvice.org.uk/law-and-courts/discrimination/what-are-the-different-types-of-discrimination/indirect-discrimination/

間接差別についての基礎資料
立法Equality Act 2010, section 19(2010年平等法19条)
立法キーワード
protected characteristics (人種、宗教、性別、年齢、障がいなど、法律が差別から保護する特徴)
employer's P*P (provision, criteria and practice)
判例(最高裁)
Essop and others v Home Office (UK Border Agency) [2017] UKSC 27
Naeem v Secretary of State for Justice [2017] UKSC 27
(2つの事件を1つにまとめて判決)
https://www.supremecourt.uk/cases/uksc-2015-0161.html
ポイント、間接差別の立証は事実上の不利益の証明で足り差別理由の証明は不要。
間接差別についての最高裁判例についてのコメント
http://www.jacksonboyd.co.uk/indirect-discrimination-blog/

https://www.bonddickinson.com/insights/publications-and-briefings/supreme-court-decision-key-indirect-discrimination-cases

Supreme Court decision on key indirect discrimination cases In the conjoined cases of Essop and others v Home Office (UK Border Agency) and Naeem v Secretary of State for Justice, the Supreme Court has given two important judgments on the scope of indirect discrimination.

02/10/2016

イギリスの「平和を乱す罪」について言及している日本語サイトが散見されますが、多分、breach of the peaceのことかと思われます。
そうだとすると、これは、逮捕権の根拠となる事実状態であって「犯罪」ではありません。
Blackstone Criminal Practiceで、breach of the peace の項目を引いてみて下さい。

Assisted Dying Bill: Fresh debate on 'right to die' - BBC News 11/09/2015

UK House of Commons voted down the ASSISTED DYING BILL for England and Wales by 118 to 330.

A private member's bill sponsored by a Labour MP, Rob Marris, was intended to give a terminally ill adult patient who has got less than six months to live a choice to ask a doctor to prescribe a lethal drug which would assist the patient's dying provided that at least two doctors and one judge agree.

An unprecedented number of MPs spoke. See the video. How about the rest?

Roman Catholics hailed the result. On the other hand...

The Archbishop of Canterbury, Justin Welby, said the bill would mean su***de was "actively supported" instead of being viewed as a tragedy.

One of his predecessors, George Carey, backs assisted dying saying that there's nothing dignified about experiencing pain at its most awful.

The British Medical Association, the doctor's union, opposes all forms of assisted dying.

The Royal College of Nursing takes a neutral stance.

Assisted Dying Bill: Fresh debate on 'right to die' - BBC News MPs are to debate whether some terminally ill people in England and Wales should be allowed to end their lives with medical supervision in a bill brought by Labour MP Rob Marris.

Parentage 'lost to IVF incompetence' - The people's information hub 11/09/2015

The legal parenthood of couples, who are not married or in civil partnership, has been at risk due to administrative errors; s***m donation (AID); regulatory mess; Human Fertilisation and Embryology Authority (HFEA)

To ensure that such couples have legal parenthood, they must sign written consent before treatment begins. Otherwise, children would suffer.

Seven couples who sought declarations of parenthood by the High Court, believed that they did so, and assumed that they were legal parents, only to receive a letter out of the blue, telling them that due to errors in consent forms, they weren't.

Sir James Mumby, the President of the Family Division, discovered wide spread incompetence across the sector of HFEA licenced clinics. An audit of 109 such clinics revealed 'an alarming outcome'. 51 of the clinics discovered anomalies in their records, including missing forms; some completed or dated after the treatment had begun; others not signed, not completed; or completed by a wrong person, with missing pages.
Such wide spread incompetence across the sector 'must raise questions' after the adequacy, if not, of HFEA's regulation and the extent of its regulatory powers.

The judge granted the couples the declarations they sought.
HFEA acknowledged how stressful if had been for the families involved, who rightly assumed that their legal parenthood was beyond doubt. It said it would continue to improve procedures.

Listen BBC Radio 4, six o'clock news, 11 September 2015 by Clive Coleman, legal correspodent.

http://www.spyreporters.com/parentage-lost-to-ivf-incompetence/

Parentage 'lost to IVF incompetence' - The people's information hub Parental status 'lost to incompetence in IVF sector' 11 September 2015 From the section UK Dozens of people who had fertility treatment might not be the legal parents of their children as a result of "widespread incompetence" in the sector, a judge has said.Sir James Munby's comments came after the…

Current Awareness from the Inner Temple Library - Daily Digest 18/07/2015

Current Awareness from the Inner Temple Library - Daily Digest ‘Mr Brown became a well-known figure in litigation circles when he sought to unseal the Will of Princess Margaret in the belief that it might reveal information showing him to be her illegitimate son. In the course of his unsuccessful litigation, it was revealed that there existed what had been desc…

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