19/02/2016
東大の松尾先生著の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書) 」を読んだかなり大雑把なまとめです。なお、細かい技術的なことは省いています。
http://www.amazon.co.jp/dp/4040800206
・最近、人工知能がホットになっているのは、人工知能の領域で50年ぶりに訪れたブレークスルーをもたらすかもしれない新技術「ディープラーニング」のため。
・ディープラーニングの特徴は、「特徴表現学習」が可能になったところが大きい。これは、従来の機械学習では実現できなかったことが実現できるという意味で意義がある。
・ディープラーニングの技術には可能性があるがその「上限値」はまだ明確ではない。そのため、あくまでも上限値と期待値とを分けて理解するべき。宝くじでいえば上限値とは1等のこと。今の人工知能は、実力よりも期待感のほうがはるかに大きくなっている。しかし、大きな可能性はある。
・人工知能が人間を支配するなどという話は笑い話にすぎない。
・「グーグルがネコを認識する人工知能を開発した」という一見すると何でもないニュースが、実は、自動運転車のニュースよりもずっと「本当にすごい」ことである。理由は、「特徴表現学習」ができるようになったことにある。自動運転車の技術は、「こういう場合はこうせよ」というパターンを数万件書くという力技だが、
・ディープラーニング以前の機械学習の弱点は、フィーチャーエンジニアリングである。これは特徴量の設計であり、「特徴量設計」と書籍では読んでいる。例えば、ある人の年収を予測をするプログラムがある場合、その人の職業、年齢、地域、学歴、業種、勤続年数、家族構成、家賃などさまざまなデータ(特徴量)があり、どの特徴量を使えばその人の年収を精度よく予測するプログラムができるかというのが問題としてある場合に、特徴量は人間が選んでいた(コンピュータでは判断できないため)。そして、問題が複雑になるほど、正しい特徴量を選ぶのが困難だった。しかし、その特徴量をコンピューターが自ら生成できる端緒がディープラーニングにはある。したがって、データをもとに「特徴量を自ら作り出す」という点でディープラーニングは人工知能の50年来のブレークスルーとのこと。これを従来の機械学習とは分けて、「特徴量表現学習」と書籍では呼んでいる。
・「特徴量を自ら作り出すことができるようになる」というのは、例えば、手書きの数字をコンピューターが読んで、正しい値を言い当てるという問題の場合で言えば、画像を白黒のピクセルで見た時に、黒いピクセルのどこをまとめて扱ったら結果(出力)に影響しないのか、逆にどこをまとめて扱うと大きく異なる結果(出力)が出てしまうのか、というピクセル間の情報の関連を試行錯誤して、コンピューターが自分で学習するという感じ。
・今後のディープラーニングの先の研究の予測(この書籍の予測)。
1. 画像からの特徴表現と概念の獲得 →画像認識精度の向上。
2. マルチモーダル(画像以外に、動画、音声、圧力などの複数のデータ)な特徴表現と概念の獲得 →環境認識、行動予測の向上。
3. 「行動と結果」の特徴表現と概念の獲得 →プランニング、フレーム問題の解決。
4. 一連の行動を通じた現実世界からの特徴量の取り出し →推論・オントロジー、高度な状況の認識。
5. 言語と概念のグラウンディング →シンボルグラウンディング問題、言語理解。
6. 言語を通じての知識獲得(人間を超える?) →知識獲得のボトルネック解消、高次社会予測。
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)