昔に指導した生徒で進学先の学校から初見や対応法について求められて出したレポートが見つかったので、個人情報がわからないようにして掲載します。
○○ ○○ 君に関する所見
沢雉塾代表 育田 夏樹
○お問い合わせ
ご両親からインターネットで当塾を知り、ご連絡いただく。9月まで予約が詰まっていて、私が対応できなかったため開始が遅くなる。一人対策が済んだことで、再募集の告知をご覧になりご連絡いただく。結果、3ヶ月も待たせたことになり申し訳ない。(要改善)
○初回面接(2014.10.11)
保護者面接
2014年1月から塾にいけなくなる。
反抗心が強い。思い通りにいかないと、暴れたり暴言を吐く。
切れやすい。妹に強く当たる。
サッカークラブでいざこざ有り。(5月)
物欲が強い
不登校(6月末から)
以前は強く叱っていたが、今はやめている。やめたことで歯止めが効かなくなっているのではと心配。
本人面接
動物、ゲーム、サバイバルゲーム、小物作り、料理が好き
勉強に集中できない
父母に対してイライラする
何に対してもイライラする
学校には行きたい。友達と会いたいけど、勉強するときは体が拒否する。
所見
じっとしているのが困難なよう。
話し終わるとパソコンでゲームを始める。
処方薬に強めの薬がだされている。
壁に幾つか穴が開けられているところを見ると、かなり激しく暴れることがあると思われる。
本人は学校に行きたいと言いつつも、かなりかたくなになっている感じがする。かなり手強いかもしれない。本人の希望に従い、登校する方向に支援する。
ゲームにかなり依存している。ゲームからいったん他のことに興味を移し、それを学校にさらに移して登校刺激を与えるのが良いと判断する。
10/23から対策開始。
対応法の検討
以下の4つのフェーズに分けて対応することに決定。 ()内は予定期間。
P1 治療的信頼関係の形成と自信の創出(2ヶ月)
P2 ストレス耐性のチェックと行動観察(1ヶ月)
P3 ストレス対応スキル、対人スキル向上のためのSST(2ヶ月)
P4 登校刺激(1ヶ月)
○P1 治療的信頼関係の形成と自信の創出
目標
今後のカウンセリングを潤滑に進めるために○○君との信頼関係を構築する。また、受験勉強に躓いて失ってしまった全能感の代わりとなる自信をつけるために、何かを完結させる。
テーマ設定
小動物が好きでマウスやカエルなどをたくさん飼っている。そのためのケージや水槽がバラバラにあるのを一箇所に集められるように大きな棚を設計製作させる。本来、小物作りが得意で好きなので、ものを作ることに抵抗はないと思われる。
内容
設計
棚に入れるケージや水槽の採寸
ケージの配置の決定
設計(強度については私が指導)
製作
木材カットはホームセンターでしてもらう。
基本は組み立てのみ。
結果
出来上がった時は誇らしげにしていた。
ご両親から久しぶりに笑顔が見られるようになったと連絡有り。
2つの目的は達成されたと思われる。
○P2 ストレス耐性のチェックと行動観察
目標
ストレスに対してどの程度の耐性があり、どのような対応をするか。また、友達と遊んでいる状況を観察し、リラックスしている状態ではどのような行動をするかを観察する。
内容
本人の苦手なストレスは暇なこと。そこで、面接の間なにもしないことにする。また、この頃にはたまに友人が来るようになったので、その様子を観察する。
結果
ストレスを与えるとすぐにかなり強い貧乏揺すりと激しい瞬きをする。しばらく時間が経つと「ちっ」と言うようになる。 ストレスに対してはかなり弱い傾向がある。最終的には父母への不満が噴出する。不満の大半は「お父さん、お母さんは約束を守らない」こと。
このフェーズの途中、冬休み明けに突然本人から学校に行きたい、行けると言い始めたとご両親から連絡がある。正直なところまだ無理だと思ったが、本人の意向に沿うようにご両親に指示する。見極めも不十分なままP3に移行する。
○P3 ストレス対応スキル、対人スキル向上のためのSST
目標
イライラした時の対処方法と他人に依頼するときの効果的な方法を伝授する。
内容
怒りは「燃料」を補給しないと6~13秒程度で消失することを利用し、イライラし始めたら100から7ずつ引いていき、30くらいになるまで続けることを教える。また、人にお願いするときに相手の気持になって考えることを少し訓練する。具体的にはお父さんとゲームをする時間の交渉をうまく運べるようにする。
結果
自発登校を始めることで急にP2を終えたのと自発登校の失敗で、またイライラし始めたのをきっかけにP3に移行。本人への指導とともに、ご両親に以下のことを守るように指示する。
簡単に約束をしないこと
暴れている時の要求は一切聞かないこと
何かして欲しいなら暴れずに落ち着いて要求するようにその場で伝えること
ご両親は約束をしたら必ず実行すること
また、ご両親が少し挫けそうだったので、今まで十分に対応できていることを伝える。また、ご両親も自信をもつこと、○○君への信頼を失わないことが将来にわたって重要な事も伝える。また、ゲームを許可する時間を指定する。
2回のセッションで、ご両親から急に暴れたり、イライラしたりする様子がなくなったと連絡有り。ご両親の行動と本人の要求がピタリとあったことで、いらいらすることが無くなったと考えられる。本人によると、ゲームより他の事のほうが面白くなってきたということらしい。
○P4 登校刺激
目標
続けて学校に登校できるようにする。
内容
すでにたまに学校に行けたり行けなかったりする状況まで改善しているが、登校するときに「恐怖」を感じるので、それを克服するために、恐怖を特定の時間・空間に貼り付け、その時間・空間を通過するときに心が落ち着くこと(○○君の場合にはネズミと遊ぶこと)をして通り過ぎさせる。一般的に通過できるようならば長くても2週間程度で恐怖は和らぐ。
結果
時間的には朝の7:20頃、空間的には学校の校門前に感じるので、起床時間を遅くし、母親が運転する車で、ネズミを触りながら校門を通過する。サバイバルゲームが好きなので、これらを「作戦」と称して実行する。最初のうちは行けたり行けなかったりということが続いたが、しばらくするとほぼ毎日1時間目ではないものの登校できるようになり、現在ほぼ毎日朝から登校できるようになる。
○総括
今までの経験で、不登校になった子供に一番必要なものは自信です。自身を失ったから不登校になったのか、不登校になったから自信を失ったのかは鶏と卵の関係でしょう。少なくとも今まで再登校にこぎつけたすべての場合において、自信を持たせることで再登校にこぎつけることが出来ました。
不登校の子どもと接していて気づくのは子供独特の全能感を早くに失っていることです。昔なら小学校高学年から中学生くらいまで全能感を持っていたと思うのですが、今はヘタをすると小学校に入るときには失っています。先日小学校6年生の男の子が登校できるようになったのですが、○○君も受験勉強がうまく行かなくなったことで全能感を失ったようです。中学受験は早くから脳を鍛えるのでいいことなのですが、逆に子供の生きる力というかやる気を奪っているのかなと最近思います。
最初に行ったことは全能感とまではいかないまでも、自分には有能な部分があるんだと実感させることです。○○君はものづくりと動物が好きなことを利用して、動物のケージや水槽を入れる大きな棚(高さ180cm)を製作しました。彼自身が設計から設置まで私の指示の下一人でやりこなすことで、自信をつけることに成功しました。この頃から、それまでの厳しい顔つきが明らかに減るようになり、笑顔が出るようになりました。
さらに決定的な自信になったのは○○に合格したことでしょう。パンフレットを見せてくれた時の自信に満ち溢れた顔は印象的でした。
子供に病的な異常がない場合、子供が暴れるのは学習の結果です。ふてくされたり暴れたりしたら言うことを聞いてくれたという因果関係が続くと、何か要求があるたびに暴れるように学習します。親は暴れるのを止めようとして軽く口約束をしてしまいます。ただ、軽くした口約束なので忘れてしまい、実行されません。そうすると子供は約束を破られたと思い、もっと暴れるようになります。この連鎖が続くと子供が暴れることが常態化します。本人に病的な問題さえなければ割と単純な構造です。
したがって、暴れる子供のご両親には、まず簡単に約束をしないこと、暴れている時の要求は一切聞かないこと、何かして欲しいなら暴れずに落ち着いて要求するようにその場で伝えること、約束をしたら必ず実行することを約束してもらっています。なかなか難しいようですが、小中学生であればこれでほぼ暴れることはなくなります。実際に○○君のご両親は最初は苦慮されたようですが、最終的にはこれを実践されて、すぐに暴れることがなくなりました。あとは、本人に対してイライラした時の対処方法や人に物を依頼するためのスキル向上のSSTを行いました。暴れることが無くなったのはご両親の努力とSSTの相乗効果と思われます。
登校の際に感じる恐怖や不安は不登校の子供全てに現れる最後の関門です。実際に何に対して恐怖を抱いているかは本人ですら分かりません。恐怖や不安は他人が感じている様子を見たり聞いたりするだけで学習することがわかっています。したがって、どんな経験をしたかをインタビューをしても恐怖や不安の原因が特定できることはまれです。
私の場合、行動療法と催眠療法を組み合わせたオリジナルの方法を用いています。行動療法は早い話が「慣れさせる」治療法ですが、これは徐々に目的に近づける方法で、今回のケースに対応するとさらに数ヶ月は必要になります。また、催眠療法は暗示により恐怖を取り除きますが、恐怖の対象がはっきりしないので取り除く対象が分かりません。私の方法は「恐怖の元」を時間・空間に存在する物体のようなものと意識させ、催眠療法的に誘導して貼り付けます。その「恐怖の元」を無意識のうちに通過することで、それがそんなに怖いものではないと実感させることで恐怖心を取り除きます。
○○君の場合には7:20、校門前を「恐怖の元」の存在一として設定しました。学校から家に近いことと、当時はお母さんの車で登校していたので、遅めの時間と絶対に通過する場所として設定しました。遅めに起きて、校門を通過するときにはネズミを触る「作戦」が功を奏し、遅刻しながらでも続けて登校できるようになり、完全に恐怖心がなくなると朝から登校できるようになりました。「俺、もう治った!」という発言はおそらく完全に恐怖心が無くなったと本人が感じている結果出た言葉だと思います。
初回面接時には最低6ヶ月はかかると思っていましたが、本人の高い感受性・ご両親の真摯に向き合う姿勢・○○に合格したことなど幸運が重なって4ヶ月で安定して登校できるようになりました。あと3ヶ月ほど経過観察が必要ですが、もうほぼ安心できる状態だと思われます。
沢雉塾
理系学部受験、特に私立医学部受験の数学・物理・化学・小論文指導を得?
21/03/2018
この記事非常にわかりやすいのでぜひ。
伊藤徳馬の どならない子育て(連載バックナンバー) | 日経DUAL 「連載バックナンバー」に関する日経DUALの記事一覧です。
申し訳ございません。3月から来年2月頃まで、月曜日〜土曜日全日程が埋まってしまいました。
継続的な指導はできませんが、不登校に関する相談は日曜日にできるだけお受けします。
新しい記事を書きました。
http://ameblo.jp/futoukou-taisaku/
500人以上の不登校の子どもの問題を解決した専門家が贈る不登校だったあなたの子どもが登校できるようになる科学的な方法 ヒゲ先生@広島で500人の不登校の問題を解決さんのブログ「500人以上の不登校の子どもの問題を解決した専門家が贈る不登校だったあなたの子どもが登校できるようになる科学的な方法」です。最新記事は「【超重要】登校刺激のタイミング」です。
「不登校について」を別サイトのブログにまとめました。
http://ameblo.jp/futoukou-taisaku
「不登校について」を別サイトのブログにまとめました。
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500人以上の不登校の子どもの問題を解決した専門家が贈る不登校だったあなたの子どもが登校できるようになる科学的な方法 ヒゲ先生@広島で500人の不登校の問題を解決さんのブログ「500人以上の不登校の子どもの問題を解決した専門家が贈る不登校だったあなたの子どもが登校できるようになる科学的な方法」です。最新記事は「あなたのお子様のいのちを守るために ~川崎中1殺害事件に思う~」です。
特にここでは不登校関係のことを書いていこうかと思っています。
まずは今までに面談した総数62人(無料面談)における統計データです。どのように解釈するかはご自身で判断下さい。
◯観察による結果
ゲーム機を持っている 62人(100%)
自室を持っている 62人(100%)
自分専用のTVを持っている 58人(94%)
平日昼は一人だけになる 37人(60%)
自分専用TV∪昼一人 62人(100%)
自分専用のPCがある 38人(61%)
◯ヒアリングによる結果
3日間家を出ていない 62人(100%)
1週間家を出ていない 25人(40%)
1月間家を出ていない 22人(34%)
昨日一日家族と話していない 42人(68%)
1週間家族と話していない 23人(37%)
1月間家族と話していない 0人(0%)
電話・メールで友人と話す機会
昨日誰とも話していない 36人(58%)
1週間誰とも話していない 29人(47%)
1ヶ月誰と問話していない 8人(13%)
不登校になってからの期間
1~3ヶ月 0人(0%)
3~6ヶ月 35人(56%)
6~12ヶ月 18人(29%)
12ヶ月以上 9人(15%)
学校に行きたい?
Yes 43人(69%)
No 6人(10%)
??? 13人(21%)
学校に行かなくなったきっかけ(自由解答)
いじめ 3人(5%)
勉強についていけなくなった 1人(2%)
わからない 58人(94%)
明日どうしたい?(自由解答)
学校に行きたい 37人(60%)
友達と会いたい 41人(66%)
家にいたい 28人(45%)
何もしたくない 15人(24%)
分からない 8人(13%)
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住所
西区庚午南2丁目37/1
Hiroshima, Hiroshima
7330823