07/05/2026
次回6/5(金)のトクノスクール、【限界集落はなぜ消滅しないのか-広島 吉和集落T型点検の報告-】について、徳野先生から以下。(長文です)
次回のトクノスクール『限界集落は、なぜ消滅しないのか?』は、実際に3月23日に行った【吉和T型集落点検】の実施状況のリアルと、集落点検により獲得した様々な知見の報告となる。
(1)限界集落といわれている吉和地区の実態調査から見えてきたものを明らかにする。この課題を『限界集落は、なぜ消滅しないのか?』というタイトルで報告する。
(2)この調査を実施した吉和地区N集会場が、ライブ会場のような社会空間に変容した。この変容過程を社会学的に考察していくという作業を、今回【広島県吉和調査のリアル】として考えていきたい。すなわち、社会学や社会調査の実践過程が、人々にとって楽しみであり、充実した時間・空間を共有する【共鳴過程】をつくるという現象が生じ、またそれを生じさせたと考えている。
以上の文章は、抽象的に整理したものであるが、報告では具体的事例をベースに発表していきたい。
たとえば、Fさん(91)は、住民台帳では独居高齢者の「強不安定世帯」とされているが、T型集落点検をすると、実際は孫夫婦(43, 43)とひ孫である女の子3人(13, 10, 8)と住んでいる。また、長女(62)が集落内に嫁いでおり、別姓になっていることが分かった。これで、現在の「生活の安定度」は、「強不安定」から「強安定」へ逆転した。
なお、この変化過程をライフヒストリーのように訊ねていくと[昭和10年に島根県の山奥で生まれ、昭和25年頃に被爆した広島駅前で働き口を見つけているうちに、衣料品店の大将から「吉和の方で良い仕事口があるから」と紹介され、吉和に移ってきた。そこで同じ材木飯場で働いていた夫と結婚し、子ども達を育て…]という話をしてくれた。
調査が終わったあとFさんに感想を尋ねたら、「今日は非常に楽しかった。興奮もした。昔の若い頃のことを思い出し、充実した心持ちになった。またこのような機会があれば呼んでほしい」と言われた。
これが、T型集落点検という社会調査が、従来の被対象者として位置づけられた客観的な学術的作業ではなく、調査されているなかに自分の人生を再生させ、自分の感情が揺さぶられ、充実した時間を提供できる可能性があるのではないかと考えている。
このような形での調査の在り方を模索していきたい。これが今回のひとつの成果である。
この調査での【共鳴過程】は、調査に参加した人(調査員、被調査者〔住民〕、関係者〔行政マン, 社協職員等〕)は、同じ空間のなかで体感的に獲得することができる。
だから、ライブ会場と同じである。このライブ会場およびライブ化をどのように行うかが、大きな課題である。