27/11/2025
校長研修だより223:初心忘るべからず
5年前,まだ曰佐中の校長だった頃,本校へ来ないかという話をもらった。5年前のちょうどこの時期に,理事会で所信表明をしなくてはならない時があり,以下の文がその時の原稿である。
所信表明をさせていただきます。重枝一郎と申します。よろしくお願いします。
まずは,新学習指導要領に関する中教審の答申に,「予測できない変化に受け身で対処するのではなく,主体的に向き合って関わり合い,その過程を通して,自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である」という一節があります。
これはもちろん未来をつくる生徒像ですが,私たち教師がそのような学びの場にしなければ,生徒の足を引っ張ってしまうことになると思っています。
私は「変化から進化」をパワーフレーズにしていきたいと考えています。
そこで,私の学校運営において,まずは,以下の3つについて実践していきたいと考えています。
一つ目は,先生方にまず自身の「あり方・生き方」を今一度考えてもらいたいと思っています。私が「かっこいい」と感じる大人になってもらいたい。「かっこいい大人」の定義は,「自分のことばかりでなく,まわりの人のことを考えられる人」「前例がなくても“やったらいける”と考えられる人」です。職員集団には,「指示されたことしかやりたくない」「やっても無駄」「自分さえよければそれでいい」と考えている大人もいます。そして,その感情は職員室に伝染していきます。
この考え方の差は,なぜ生まれるのかを考えたとき,私は,「やったらできた」という経験の量に比例すると思っています。よって,先生方の考えを引き出し,伝えさせ,まわりから良い反応を得るという成功体験を積ませ,教師自身が先の未来を強く生きていけるようにしていきたいと思います。
聖書の中に,「鉄は鉄をとぐ。そのように人はその友の顔をとぐ」という言葉があります。
共に磨き合える人との付き合い方を意味する言葉です。私も「人は人で磨かれる」と,これまで先生方や生徒によく話していました。幼稚園,中高,短大,大学がある多様性の中で,そのような風土が,より醸成されるようにしていきたいと思います。それが生徒の可能性を広げることにもつながるからです。その実践の過程で,私も含めて,先生方,生徒には「自分で選んだ道を正解にする力」をつけていきたい。また,そういう発信する上で大切なのは,私自身の自己開示です。まずは,年度初めの職員研修で「私自身のキャリア」について全職員にプレゼンすると同時にGWTを活用して職員研修を行いたいと思っています。初頭効果を狙って,職員との会話と交流を活性化したいと考えています。
聖書の中に,「門をたたく者には,開かれる」という言葉があります。
まずは,私自身が明るく門をたたきたいと思います。
そして,全職員で一人の生徒を大切にする風土をつくるため,学年の教師の持ち上がりにこだわらず,一人の生徒に多くの教師が関わり,生徒を多面的に捉えられるようにしてみたいとも考えています。新しい出会いが生徒の殻を破るきっかけになると思います。
二つ目は,志願者数についてです。以前,高校の管理職をしていたとき,私はこの志願者数については,大きな使命感をもち取り組んでいました。この数は,市民が「行きたい学校」「学びたい学校」としてあこがれや安心感を含む「学校魅力」を感じているかという,大きなバロメーターだと思っています。以前の高校では,6年間毎年過去最高数を更新してきました。私自身は,その学校の魅力を発信する力があると同僚から認められていました。そこで大切となるのは「一体感と多様性」です。「こんな学校」という一体感,そして,「こんな先生がいる」という多様性,その相乗効果が鍵となります。また,この発信が学校自体を活性化させることにもつながります。「教育は人なり」という部分は絶対的なのです。そのためには開かれた学校でなければならないし,職員一人一人が“勝負は一瞬”という姿勢で,個々で,同僚のこと,学校のことを発信することが大事になります。これまでのキャリアで出会った人とのつながりを活用しながら,自らの言葉で,発信していきたいと考えています。よってPTA高校見学,塾の保護者説明会,中学校の進路説明会等々への積極的に参加をしていきたいと思います。
三つ目は出口保障についてです。
これからの高校や大学に親世代が通っていたころの学校像はそこにはありません。指導も経営も生徒・保護者の志向も別物になっています。私の時代は,大学の志望校を選ぶときに大学の「AP(アドミッションポリシー)」「DP(ディプロマポリシー)」「CP(カリキュラムポリシー)」を参考にしたか?全く知りません。そもそも「AP」「DP」「CP」を大学が高校に発信することすらなかったように思います。ところが,今は必ず大学は発信します。つまり,大学の個性化や機能分化が進められているのです。
そこで,具体的には,3つのことを実践していきたいと考えています。まずは「早期化」。英語外部検定が入試に利用されることもあり,早く志望校を想定させ,どの検定をいつ受けるのかを意識させます。次に,「マッチング化」。高校,大学の「AP」「DP」「CP」を重視させ,自分に合う大学という意識をもたせます。最後に「生徒起点化」。生徒が主語の教育を重視していくことはもちろんですが,進路決めの三者面談では,生徒が親と教員に対し,ポートフォリオを基に成長のプロセスや得た学びから考えた希望進路をプレゼンします。自分史,調べ学習,体験学習や自分の学力等のマッチングを論理的に説明することが,ここまでのキャリア教育の一つのゴールとします。このように進路選択も,教員による指導型から生徒起点型に変えていくことが,生徒の未来に役立つ進路保障と考えます。“これまで”の進路指導は,主に学校から与えられる情報で進路を絞っていくというものであり,描いたコースから外れないように努力することを求めていましたが,“これから”の進路指導は異質なものにふれる機会を与え,進路の可能性,修正の機会を与えていくといった「修正力」が鍵になると考えます。
最後に,私自身のこれまでのキャリアを考えると,多くの特命(荒れた学校の立て直し,民間企業の活性化,市立高校の活性化,様々な学校・地域の困難な事案に対する指導・支援等)が私自身のやる気の源であったように思います。私は,「誰かのために」という感覚が好きです。そして,ステークホルダーと良好な関係を築き,そこにある伝統を継承しながら,新しい文化の創造を目指します。貴校を取り巻く人や,環境,思想,価値観など,関わるすべてのものを大切に思うことから感動や希望,交流が生まれると考えています。この「リスペクトの精神」はすべての根幹をなす価値観と思っています。貴校勤務においても,私のこれまでの多くの多様な経験が生きると考えています。
最後の最後に,聖書の中に,「私たちは与えられた恵みによって,それぞれ異なった賜物(カリスマ)をもっている」という言葉があります。
私にも神様から与えられた才能があると思います。それは,今回の役割に生かしていきたいと思っています。