27/01/2016
【報告】第22回キャリア支援研究会
2016年1月25日に第22回キャリア支援研究会が行われました。
テーマは「『経験学習』-自己PRにつなげる支援の視点-」でした。
参加者は運営メンバー含め11名でした。
当日は以下の流れで進行しました。
■事前課題
今回の参加者には以下の事前課題がありました。
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Q1:「自己PR:学生時代に頑張ったこと・学んだこと」の言語化につまづいている例をご記入ください。
Q2:その学生に対する働きかけ(支援方法)について具体例をご記入ください。
※アプローチに困った事例の場合には、何に困ったのか、どうして困ったのかについてご記入ください。
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■事前課題の共有
開会のあいさつのあと、2班に分かれて事前課題の共有をしました。
以下の例などが出てきました。
【A班】
・自分には何もPRできることがない
・PRポイントにインパクトがない。自分の理想とするものではない
⇒その人らしさを言語化すればいいというアプローチだが
⇒「こう書いたらいいというのを教えてください」という学生もいる
【B班】
・何も書けないことの背景に経済的事情がある
・インターンシップにいけない
⇒こうしたらいいというアイディアがでにくい例
■「経験学習」解説
その後、運営メンバーの田澤より、今回のテーマである「経験学習」について解説をしました。ここではエッセンスを紹介します。
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【1】コルブ(Kolb, D. A.)の「経験学習」
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・「経験からいかに学ぶか」という問いは伝統的なテーマである。
・これに関連した研究にコルブ(Kolb, D. A.)の「経験学習」がある。
・以下のコルブの本は世界中で引用がされている有名なものである。
Kolb, D (1984) Experiential Learning: Experience as the resource of Learning and Development, Englewood Cliffs, NJ, Prentice Hall.
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【2】経験学習の定義
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・コルブは「具体的経験が変容された結果、知識が創出されるプロセス」と定義した。
・1)学習サイクル論、2)学習スタイル論、3)これらを踏まえた教育者の4つの役割
などが有名。今回は、1)と3)に焦点を当てる。
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【3】 学習サイクル論
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・コルブの学習経験には大きく分けて2つの軸がある
具体的⇔抽象的
参加する⇔観察する
・コルブは知識が獲得されるメカニズムが個人の内部でどのように生起するのかに注目した。
・経験学習にとって重要なのはプロセスであるとし、以下のような学習サイクルがあると主張した。
1)具体的経験:初めに具体的な経験をして
↓
2)内省的観察:その経験を多様な観点から振り返る
↓
3)抽象的概念化:その経験から他の状況でも使える「枠組み」を作る
↓
4)能動的実験:最後に実験を通してそれを試す
↓
そして、また1)へ・・・
※このあとに、学生の自己PR文の例と上記の対応について4つの例を見ました。
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【4】教育者の4つの役割とそのプロフィール
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・またコルブら (2014)は、近年、個人の学習のみならず、それに応じた教え方にも注目している。
・コルブら (2014)は「Educator role profile」と呼んでいるがここでは、「教育者の4つの役割とそのプロフィール」と以下呼ぶことにする。
・4つの役割は下記である。
【教育者の役割1】:「ファシリテーター」
(※「具体的経験→内省的観察」の位置)
・温かく、肯定的なスタイル
・学習者とラポールを形成する。
・学習者が個人的な経験をリフレクションするように促す
・学習者を小さなグループに分類し、ファシリテーションを用いた対話をよく用いる。
【教育者の役割2】:「専門家」
(※「内省的観察→抽象的概念化」の位置)
・反省を促すスタイル、権威的なスタイル
・学習者が得たリフレクションを関連した知識に結びつける
・学習者に体系的に知識を構成させる
・講義やテキストを通じて知識を伝える。
【教育者の役割3】:「評価者」
(※「抽象的概念化→能動的実験」の位置)
・客観的で結果重視のスタイル
・学習者が知識や技術を活用できるように促す。
・学習者が学んだことを評価できるように適切なアクティビティを設ける(基準を設ける)。
【教育者の役割4】:「コーチ」
(※「能動的実験→具体的経験」の位置)
・個別に接して、学習者が日常で得た経験から学ぶことを促す
・学習者が得た知識を自分の目標を達成するために使うことを促す
・学習者の開発計画の作成を支援する
・学習者がパフォーマンスを示した際に、フィードバックを得る方法を提供する
※主な文献
Kolb, D (1984) Experiential Learning: Experience as the resource of Learning and Development, Englewood Cliffs, NJ, Prentice Hall.
Kolb, A. Y., Kolb, D. A., Passarelli, A., & Sharma, G. (2014). On becoming an experiential educator: The educator role profile.Simulation & Gaming, 45(2), p204-234.
赤尾勝己 (編) 2004『生涯学習理論を学ぶ人のために―欧米の成人教育理論、生涯学習の理論と方法』世界思想社 (※特に第6章)
■事前課題の集約、話し合いのテーマ設定
上記の解説の後に各班の事前課題を下記のようにまとめました。
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1)「何も経験したことがない」と主張する学生
⇒本当にない学生
⇒経済的事情や時間の不足と主張する学生
2)経験したことへの自己評価が低い学生
3)支援者から見て独自性が不足している学生
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このような課題に対し、以下のような話し合いのテーマを設定しました。
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・どのようにその経験の言語化を支援するか?
⇒経験すること、観察すること、調べることなどは?
・どのような質問の仕方があるか?
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■各班の話し合いと発表
上記のテーマで各班で話し合いをしました。その際に、班のメンバーを半分チェンジして行いました。
※各班から出てきた発表の一部の写真を添付します。
■発表へのコメント
その後、運営メンバーの川出より、
発表へのコメントがありました。
主な内容は下記です。
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・問いを立てて、場の作り方が難しいと感じた会だった
・片方の班は、ある具体的な課題に対して、具体的なアプローチの仕方をしていた。一般的で抽象的な言葉にはすぐにはとんでいなかった。問題となっていることについて答えが出ていると思った。
・もう片方の班は、具体的なものを一般化した上でどう具体的なかかわり方をするかと話し合っていた。コルブの四つの教育者の役割に当てはめようとしていた。
・このように対称的であった。
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■発表後の振り返り
その後、参加者が発表後の振り返りを語りました。
各班でも振り返り方が違っていたことが話し合われました。
■フリップトーク
最後に、参加者の一人一人が気づきについてシェアリングするために下記3点を記載するフリップトークをしました。
①立場
②今日の気づき・学び
③今後に向けたアクションプランを記載する
そこでは、下記のようなキーワードなどが出てきました。
・経験は特別なことではない。習慣化されていること、日常化されていること。
・「強み」なのか、「価値観(大事にしていること)」なのか
・イメージを変えたい。普及活動をしたい。
・経験がないと主張する学生への質問の方法が学べた
・私は現実にフォーカスしやすい。「現実の制約からはずす」というのは目からうろこ。
・支援の仕方はたくさんある。学生は「答え」を求めがちだが、「正解」はない
・うまくいかないことにもヒントはある。
・面接をする際には、ネガティブワードに引っ張られすぎないようにする。
・経験の抽象度を上げることを支援したい
※詳細は研究会当日の写真をご覧ください(後ほど掲載予定です)。