自由大学 Freedom Univ

自由大学  Freedom Univ 「大きく学び、自由に生きる」をテーマに、知的生命力がよみがえるユニークな講義を展開する学びの場。

個人を輝かせ、新しい状況をつくっていく学びの場です。学校法人ではありません。
テーマに「大きく学び、自由に生きる」を掲げています。大きく学ぶとは、物事を多角的に捉えて新しく有意義な着想を生み出していこうとする姿勢です。私達は、その姿勢をクリエイティビティ(創造性)と定義しています。また、自分らしく自由に生きたいという原動力は、時に想像を超える力をもたらします。
私達は、誰もがクリエイティビティを発揮できる“學びの状況”を作っていくことをミッションとしています。
自由大学は東京都世田谷区池尻にある「IID世田谷ものづくり学校」内に2009年に開校。表参道「COMMUNE」移転に伴い、2021年9月より永田町「MIDORI.so NAGATACHO」内がメインキャンパスです。

メルマガコラム『言葉は遅れてやってくる』「言語化」のニーズは高まっています。働く場所も価値観もばらばらになり、「察してよ」では通じにくくなりました。空気に頼れなくなり、ぼくらはいちいち言葉で運ばなければならない。会議でもSNSでも、早く、短...
19/08/2026

メルマガコラム
『言葉は遅れてやってくる』

「言語化」のニーズは高まっています。働く場所も価値観もばらばらになり、「察してよ」では通じにくくなりました。空気に頼れなくなり、ぼくらはいちいち言葉で運ばなければならない。会議でもSNSでも、早く、短く、わかりやすい言葉でお気持ち表明しなければ、存在していないことにされます。

でもぼくは、誰かに会って心が動いた直後に「今日も素敵なご縁に感謝です」などとまとめられません。揺れが大きいほど、消化するのに時間がかかるのです。

早い言語化はコミュニケーションを円滑にします。ただ、早すぎる言語化には弊害もあるのではないでしょうか。

体験を語るとき、よく使われる物語の型がありますよね。

「手放した途端、不思議と新しいご縁が舞い込んできました」
「育てているつもりが、子どもに育てられていたのは私のほうでした」
「幸せは遠くにある目標ではなく、何気ない日常の中にありました」

どれも、どこかで聞いたことがあります。ぼくらは、不運には「意味」を、欠点には「強み」を、別れには「感謝」を与えたがります。型を使わないと、人生がすばやく片づかないからです。
少なくとも、人前ですぐ言葉が出てくる能力の一部は、こうした定型の引き出しの多さと、その検索速度でできている、とにらんでいます。カラオケの持ち歌が多いというか。

今このノリなら、あの曲だな。イントロが流れた瞬間、「はい、待ってました」と歌い始める。相手も知っている曲だから、場は盛り上がります。対談でも会議でも、立て板に水です。

ところが、ぼくの場合、帰り道にふと気づくことがあります。

「あれは、自分の歌じゃなかったな」

嘘ではないけれど、その場にぴったりの人気曲を気持ちよく歌っただけ。拍手までいただいたことが、あとになって恥ずかしくなるのです。

既存の型に当てはめれば、複雑な体験を扱いやすくできます。でも、型からはみ出した固有の細部は切り落とさざるをえない。

「あの人は優しい人だった」と何度も語るうちに、意地悪だった日の記憶が消えていく。「上司が最悪で会社を辞めた」と説明するうちに、仕事に感じていたやりがいや、自分の未熟さを忘れていく。

最初は、他人にわかりやすく伝えるための要約だったはずです。ところが何度も同じ説明を繰り返すうちに、自分でも、それが出来事のすべてだったように思えてきます。言語化とは、体験を説明するだけでなく、記憶自体も型通りに変えてしまう。

けれど、型に沿って要約することが悪いとも言い切れません。人に話すことで、心が軽くなることがあります。一人では抱えきれない体験を何度も語り直す。そのたびに枝葉が落ち、筋道が生まれ、やがて「自分に起きたのは、つまりこういうことだった」と、抱えて生きられる大きさになります。

ただ、軽くするためには、こぼれ落ちるものが出てしまう。

先々月、黒崎輝男さんを追悼するZINE『 KUROTERU Studies』を制作しました。スクーリングパッド自由大学で学んだみなさんに、黒崎さんとの思い出を寄稿していただいたのです。

ある人からは、辞退の返事がありました。「黒崎さんのことを自分のなかで言葉にするにはまだ早いので、もう少し時間を置きたい」という趣旨でした。

ぼくが依頼しておきながら、ああ、わかる、と思いました。

言葉を紡ぐことに慣れた人たちです。それでも、いまは書けない。まだ安易に言葉にしないほうがいいと、身体が知っている。もちろん、これは返事を受け取ったぼくなりの解釈です。

寄稿を募るときも、「黒崎さんはこういう人だった」とまとめるのではなく、なるべく具体的なエピソードを書いてくださいと伝えました。「厳しい中にも愛のある人だった」と定型の人物評にすれば、その言葉からこぼれた黒崎さんはいなくなる。型に回収されたくはなかったのです。

だから、一人ひとりの記憶に残る断片を集めました。並べてみると、同じ一人について書いているとは思えないほど、矛盾した姿が現れました。読むほどに輪郭がぼやけ、同時に、本人らしさが浮かび上がってきます。

言葉には、複雑な体験を抱えやすく組み替える力があります。ただ、抱えやすくすることと、正確に残すことは同じではありません。

「やべー、マジか」と発したきり、言葉を失ってしまう人が、あとになって、その人にしか書けないものを書いてくることがあります。言語化が下手なのではなく、まだ、どの型も違うと身体が知っているのでしょう。

言葉にする力と同じくらい、急いで言葉にしない感覚も信頼したい。自分の言葉は、たいてい少し遅れてやってくるから。

TEXT: 自由大学学長・教授  深井次郎
担当講義:自分の本をつくる方法

「いつか本を書いてみたい」という小さな企みを、ここから一歩、進めてみませんか?「自分のこれまでの経験や、大切にしている想いをいつか形にしてみたい」「商業出版に挑戦して、本当に届けたい人にメッセージを届けたい」そんな風に、胸の中に温めているテ...
11/08/2026

「いつか本を書いてみたい」という小さな企みを、ここから一歩、進めてみませんか?

「自分のこれまでの経験や、大切にしている想いをいつか形にしてみたい」

「商業出版に挑戦して、本当に届けたい人にメッセージを届けたい」

そんな風に、胸の中に温めているテーマや「いつか」の夢はありませんか?

この講義は、「今すぐ出版にこぎつけたい!」という熱い想いを持った方はもちろん、「まだ何を書けばいいか分からないけれど、本づくりの裏側を覗いてみたい」「自分の表現の軸を見つけたい」という方まで、それぞれのスタンスで受講していただけます。

講義の中でよくお伝えするのは、単なるテクニックではなく、本づくりや表現に向き合うための本質的な姿勢です。

「生身の人間はぶれるけれど、キャラはぶれない」
「企画は半乾きの状態で持って行く」

卒業生のみなさんからも、「名言だらけで脳にたくさん刺激を受けた」「単なる“自分語り”で終わらせず、それを誰のために、どう役立てていくのかという視点に気づけた」という、真摯で嬉しい声をたくさんいただいています。

商業出版という世界が、決して遠くの特別なものではなく、地道に、真摯に続けていけばちゃんと地続きでつながっているんだという感触を、ぜひこの5日間で掴んでいただけたら嬉しいです。

深井教授は、皆さんの「書きたい」気持ちに寄り添いながら伴走します。

少人数(定員12名)で、お互いのビジョンに共鳴し合える仲間と出会えるのも、この講義のプロローグならではの魅力です。
ピンと来た方、ぜひご一緒しましょう。

📙自分の本をつくる方法【オンライン】 

🗓️日程(全5回):
第1回:9月29日(火)19:30-22:00
第2回:10月6日(火)19:30-22:00
第3回:10月13日(火)19:30-22:00
第4回:10月27日(火)19:30-22:00
第5回:11月10日(火)19:30-22:00

👥定員: 12名(定員になり次第締切となります)

申込締切:9月22日(火)

▼詳細とお申し込みはこちらから

なぜ、人は本を書くのでしょうか? 誰に頼まれたわけでもありません。それなのに書き始めたのはたぶん、「自分の体験やアイデアを自分だけのものにするのではなく、誰かの役に立てたい」と願ったからではないでしょ.....

【企画は、広げるより、狭く深く】夏休みモードに入りましたね。いかがお過ごしですか? 「自分の本をつくる方法」教授の深井次郎です。先週、「自分の本をつくる方法」第76期を終えまして、また新しい仲間が加わりました。それぞれ企画書とサンプル原稿も...
09/08/2026

【企画は、広げるより、狭く深く】

夏休みモードに入りましたね。いかがお過ごしですか? 「自分の本をつくる方法」教授の深井次郎です。

先週、「自分の本をつくる方法」第76期を終えまして、また新しい仲間が加わりました。それぞれ企画書とサンプル原稿も課題で終えて、いいところまでできてきています。

⚫︎卒業生のメンバーみなさんはその後いかがですか?
1期や2期など初期のメンバーが10年以上経って出版したり、その人その人に企画が発酵するタイミングがあります。
とはいえ、「今行けるのに」「いったほうがいいのに」と思うタイミングで、足踏みしてしまう人もいる。

自分はどうかなと迷った人は、気軽に聞いてくださいね。
今年もフォローアップ講義をやります。
(年に1回、多くても2回しかやらないやつです)

⚫︎メンバーに限らず、これまで毎日多くの出版企画を見てきて、よく感じることがあります。

せっかく本人に面白い経験や独自の視点があるのに、それが企画書では伝わってこない。原因の多くは、企画が「広すぎる」ことです。あれも書きたい。これも大切。自分が経験してきたことを、できるだけ全部入れたい。その気持ちはよくわかります。

けれど、テーマを広げるほど、既存の本と重なって見えます。誰にでも関係する本にしようとすると、かえって「なぜ、この人がこの本を書くのか」が見えなくなってしまう。

企画を尖らせるとは、奇をてらうことではありません。自分の経験や強みを客観的に見つめ、「この本では、何をいちばん伝えるのか」を選ぶこと。そして、思い入れがあっても、そこから外れるものを思い切って捨てることです。

何に絞るのか。

どこまで狭く、深く潜れるのか。

その人にしか書けないコアメッセージは、どこにあるのか。
書いている本人ほど、これを客観的に判断するのは難しいものです。自分にとって当たり前すぎて、価値に気づいていない経験もあります。反対に、思い入れが強いために、手放せない要素もある。

来週開催する「自分の本をつくる方法」フォローアップ講義では、それぞれの企画を客観的な編集の目で見直します。情報を足すための講義というより、企画の核を見つけ、余分なものを削り、「あなたが書く意味」が伝わるところまで輪郭を研ぎ澄ます一日です。

企画書とサンプル原稿を自分なりにつくり、ここから本気で出版へ進みたい方を対象にしています。ごく少人数なので、一人ひとりの企画をかなり深く検討します。

夏の一日、自分の企画に狭く、深く潜ってみませんか。

「自分の本をつくる方法」卒業生のみ参加可能です。

8月16日(日)10:30〜17:00/オンライン
講義後、個別オンラインアドバイスあり
申込締切:8月15日(土)

「自分の本をつくる方法」フォローアップ講義
https://freedom-univ.com/lecture/ownbook_on_follow_up.html/

\受講生募集中 自分の本をつくる方法(オンライン)/【夏季集中フォローアップ】本気で出版を実現したいが一人きりではちょっと停滞してしまったメンバー向けに、「自分の本をつくる方法」または「自分の本をつくる方法【オンライン】」卒業生限定の特別講...
01/08/2026

\受講生募集中 自分の本をつくる方法(オンライン)/
【夏季集中フォローアップ】

本気で出版を実現したいが一人きりではちょっと停滞してしまったメンバー向けに、「自分の本をつくる方法」または「自分の本をつくる方法【オンライン】」卒業生限定の特別講義を実施します。

🟢企画を磨き、提案を始める集中講義

「自分の本をつくる方法」講義を卒業したあと、それぞれ出版に向かって歩みを進められていますか?

「出版社へ具体的に提案したい」
「企画書までは作った」
「でも、この資料でいいのか? 一人になるとなかなか次の一歩が踏み出せない」

そんなメンバーのための、卒業生限定の特別講義です。

講義の最終回では、ほとんどの方が企画書をプレゼンするところまで到達します。そこからトントンと進む人もいれば、企画を再考したり、もう少し納得のいくまで練ってからトライしようという人もいます。

出版活動で意外と大きな壁になるのが、「一人になると止まってしまう問題」です。

企画書をもう少し直してからにしよう。もっと適した出版社があるかもしれない。そうこう考えているうちに、数か月、場合によっては数年が過ぎてしまいます。せっかく出版できる可能性がある人が、あと一歩のところで立ち止まってしまうのは、あまりにももったいない。

そこで今回は、企画を徹底的に磨き、出版社アタックの具体的な準備まで進める「出版フォローアップ」を行います。

普段の仕事や日常から少し離れ、自分が本当に出したい本について考える。企画書を持ち寄り、一人では越えにくかった壁を集中して越えていきましょう。

📘第1回 フォローアップ
「自分の本をつくる方法」受講後、課題を解消し、出版実現への道をさらに前進させるための講義です。

詳細は、自分の本をつくる方法卒業生メンバー専用FBグループにてご案内しています。

📘第2回 個別オンラインアドバイス
各自日程調整 ※講義の際、調整します。

📅日程
第1回:2026年8月16日(日)10:30-17:00
第2回:2026年8月中

定員10名程度  ※定員になり次第締切

申込締切日8月15日(土)

お申し込みは、コメント欄🔗より、ご確認ください。

【募集中】自分の本をつくる方法(オンライン)つくりたい本を考えるのは、「自分は何者か」に答えること自分を表現するため、世の中を変えるため、雇われずに自由に働くため、仲間をつくるため。本を書く動機が人それぞれなら、講義への参加理由もさまざまで...
22/07/2026

【募集中】自分の本をつくる方法(オンライン)
つくりたい本を考えるのは、「自分は何者か」に答えること
自分を表現するため、世の中を変えるため、雇われずに自由に働くため、仲間をつくるため。本を書く動機が人それぞれなら、講義への参加理由もさまざまでOKです。「いつか自分の本を出せたら」と企む方から、「いますぐ出したい」、「すでに本をだしているけど、もっと突き抜けたい」方、または教養として、本づくりの裏側をのぞいて刺激を得たいという方にもためになる内容になっています。

◎日程
第1回:9月29日(火)19:30-22:00
第2回:10月6日(火)19:30-22:00
第3回:10月13日(火)19:30-22:00
第4回:10月27日(火)19:30-22:00
第5回:11月10日(火)19:30-22:00

◎定員9名 ※定員になり次第締切

▼講義詳細・お申し込み

なぜ、人は本を書くのでしょうか? 誰に頼まれたわけでもありません。それなのに書き始めたのはたぶん、「自分の体験やアイデアを自分だけのものにするのではなく、誰かの役に立てたい」と願ったからではないでしょ.....

明日開講「ナラティブエッセイ学(オンライン)」で、あなただけの物語を言葉にしませんか?みなさん、こんにちは。いよいよ明日、7月16日(木)から「ナラティブエッセイ学」が開講します。※オンラインZOOM講義です。「特別な経験をしていないと、エ...
15/07/2026

明日開講「ナラティブエッセイ学(オンライン)」で、あなただけの物語を言葉にしませんか?

みなさん、こんにちは。

いよいよ明日、7月16日(木)から「ナラティブエッセイ学」が開講します。※オンラインZOOM講義です。

「特別な経験をしていないと、エッセイは書けないのではないか」
そう思っていませんか?

ナラティブエッセイに必要なのは、ドラマチックな事件ではありません。
日常のほんの小さな気づき、心が動いた瞬間、自分だけが覚えている懐かしい景色。そうした一見ささやかな出来事の中に、あなたにしか語れない大切なテーマが眠っています。

この講義は、技術を競う場所ではなく、自分の心と対話し、それを言葉にして誰かに手渡すプロセスを体験する場所です。
少人数だからこそ、一人ひとりの言葉にじっくりと耳を傾け、深いフィードバックを得られる温かい場になります。

「やっぱり書くことに挑戦してみたい」
そう直感で感じた方は、ぜひ今夜のうちに一歩を踏み出してみてください。

■ 講義スケジュール:明日スタート
第1回:7月16日(木)19:30-21:30
第2回:7月23日(木)19:30-21:30
第3回:7月30日(木)19:30-21:30

詳し内容・お申し込みはこちら:

なぜ今、エッセイを書くのか エッセイとは、自分の体験や考えをそのまま素材にして語る、もっとも人間的な文芸です。経験、感情、違和感、葛藤、発見 ── これらはAIには触れられない、あなただけの固有の物語。

『夏はいつから始まるのか』自分がやる意味のある仕事は、どこから生まれるのでしょうか。仕事で成果を出すにも、作品を世に出すにも、2つの力が必要です。自分なりの核をつくる力と、それを外へ届ける力。つまり、独自性と広げる力です。ただ、順番がありま...
08/07/2026

『夏はいつから始まるのか』
自分がやる意味のある仕事は、どこから生まれるのでしょうか。

仕事で成果を出すにも、作品を世に出すにも、2つの力が必要です。自分なりの核をつくる力と、それを外へ届ける力。つまり、独自性と広げる力です。ただ、順番があります。まず大事なのは、独自性です。

創作活動をしている人に会うと、広げ方ばかりを気にしている人が多いです。SNS、タイトル、プロフィール、ブランディング。でも、独自性のないものを表面だけ整えても、何も残りません。中身を見ると、「夏は暑い」みたいな、10人中9人が思うことを言ってしまう。それは、わざわざあなたが言う必要がありません。

では、独自性はどこから生まれるのか。

たとえば「夏は暑い」。それは誰もが承知です。では、夏はいつから始まるのでしょうか。今日は7月8日。暦の上では夏です。でも、あなたは「まだ夏は始まっていない」と感じている。なぜでしょう。そう、まだセミが鳴いていない。夏は、セミが鳴いた瞬間から始まるのです。

人生で何十回も夏を経験してきて、セミの第一声に立ち会ったことがあるでしょうか。ある早朝、どこかで一匹が鳴きはじめる。それに呼応するように、大合唱が始まる。今年こそ、その瞬間に立ち会ってやる。この感性は、独自性の種になります。

順番は、独自性が先で、広げるのはそのあとです。広げることは、編集者やPR担当も手伝えます。でも、独自性の井戸を掘るのは本人の仕事です。外注はできないんですね。なぜ自分はそれに引っかかるのか。なぜその記憶だけが残っているのか。なぜその風景を見飽きないのか。そこまで降りるうちに、自分の核が見えてきます。

独自性というと、人はすぐに派手な経験を思い浮かべます。世界一周、海外暮らし、起業、大病、選挙当選。たしかに、珍しい経験は入口として強いです。でも、珍しい経験があるから面白いとは限りません。反対に、普通の毎日だから価値がないわけでもありません。大事なのは、経験の派手さではなく、感性のユニークさです。

会社と家を往復するだけの日々にも、その人だけが揺れた心があります。給湯室に漂う、誰が洗うとも決まっていないマグカップの気配。帰り道のスーパーで、半額シールを貼る店員さんを見つけて、急に歩幅が遅くなる自分。返信が来て安心したのに、今度は自分が返す番になって憂鬱になること。そういう小さな揺れの中に、独自性の入口があります。

では、どうすれば心を細かく観察できるようになるのでしょう。

ひとつの方法は、同じものを並べ、微差を比べてみること。海辺にいくと貝殻や石を拾いたくなります。一見すると、どれも同じ。けれど、並べてみると、ひとつとして同じものはありません。形、重さ、色、欠け方、丸み、手触り。その微細な違いを見ているうちに、自分が何に惹かれているのかが見えてきます。

同じものを見続けても、見飽きない。違いを見つけ続けられるなら、それは興味が強いサインです。

黒崎さんに、「どこで、この若者はデザインの才能があるとわかるんですか?」と聞いたことがあります。すると、マーク・ニューソンの駆け出しの頃の話を例に挙げていました。彼は歯ブラシを何百本も並べて、「自分にはこれがベスト」と見極めていたそうです。確かにその歯ブラシはすごく良かった。つくった実績はなくとも、選ぶ感性があった。

パッと見は、どれも同じ歯ブラシです。どれも同じ石です。どれも同じ夕日です。けれど、ある人には微差が見える。これはしっくりくる、これは気持ちが悪い。その反応がある。

創造とは、外に向かって「表現すること」である前に、自分の内側に潜って、「自分はこんなものに反応する人間だったのか」と発見していくプロセスなのだと思います。

ぼくがナラティブエッセイ学でやっているのも、まずその独自性を見つめていくことです。誇れる派手な経験を語るよりも、感情の揺れを捉える。なぜそこに引っかかったのかを見つめる。自分の反応の癖を言葉にしていく。

遠くへ旅に出なくても、家から出られなくても書けます。エミリー・ディキンソンは部屋から詩を書き、鴨長明は小さな庵から世界を見つめました。

何かをつくることは、自分を発見していくプロセスなのだと思います。なぜ、飽きずに海を見ていられるのか。なぜ、たくさんある貝殻の中から、この一つを選んだのか。作りながら問い続けるうちに、「自分はこういうものに反応する人間だったのか」と少しずつわかっていく。

作品とは、その発見の跡です。だから、作品を見た人もまた触発されます。これは好きだな。これは少し怖いな。自分なら何を選ぶだろう。そうやって、他者の作品に触発されて、自己発見をしていく。

自分がやる意味のある仕事は、何度も心が引っかかるものを見つめ、つくりながら考える時間の中から生まれてくるのです。

TEXT: 自由大学学長 深井次郎 
担当講義: ナラティブエッセイ学【オンライン】

日程
第1回:7月16日(木)19:30-21:30
第2回:7月23日(木)19:30-21:30
第3回:7月30日(木)19:30-21:30

定員10名程度 ※定員になり次第締切 

申込締切日7月15日(水)

お申し込みはコメント欄よりご確認ください。

なぜ今、エッセイを書くのか エッセイとは、自分の体験や考えをそのまま素材にして語る、もっとも人間的な文芸です。経験、感情、違和感、葛藤、発見 ── これらはAIには触れられない、あなただけの固有の物語。

「普通の日々」が宝物に変わる。あなたの人生を物語にする「ナラティブエッセイ学」開講!私たちは毎日、たくさんの感情や出来事を通り過ぎています。嬉しかったこと、悔しかったこと、言葉にできなかったモヤモヤ。それらはすべて、あなたという人を作ってき...
08/07/2026

「普通の日々」が宝物に変わる。あなたの人生を物語にする「ナラティブエッセイ学」開講!

私たちは毎日、たくさんの感情や出来事を通り過ぎています。
嬉しかったこと、悔しかったこと、言葉にできなかったモヤモヤ。それらはすべて、あなたという人を作ってきた大切な「ナラティブ(物語)」の原石です。

自由大学の「ナラティブエッセイ学【オンライン】」は、単なる文章の書き方(テクニック)を学ぶだけの場所ではありません。

講義を通じて行うのは、自分の内側を旅するように見つめ、それを「エッセイ」という形にして、他者と分かち合うこと。

◆ 過去の受講生からは、こんな声が届いています。
「書くことで、忘れていた大切な記憶や、当時の自分の感情と再会できた」
「自分のために書いた文章が、仲間に届いたときの喜びは格別だった」
「他の方のエッセイを聴くことで、世界の広さや、人の愛おしさを知った」
(受講生レポートより:https://freedom-univ.com/lecture-report/20260105/)

オンライン開催なので、日本全国、世界どこからでも受講可能。
画面越しでありながら、お互いの物語に耳を傾け、深く共感し合える温かいコミュニティがここにあります。

文章に自信がなくても大丈夫です。大切なのは、上手く書くことではなく、あなたの「本音」に言葉をあてがうこと。

あなたにしか書けない物語を、ここで一緒に紡ぎ出してみませんか?

【講義概要】
講義名:ナラティブエッセイ学【オンライン】
場所:オンライン(Zoom)

▼ 講義の詳細・教授からのメッセージはこちら
https://freedom-univ.com/lecture/essay.html/

#ナラティブエッセイ学 #自由大学 #エッセイ #書くこと #エッセイを書きたい #言葉にする #自分と向き合う時間 #文章の書き方 #アウトプット #ライフログ #自分の物語

なぜ今、エッセイを書くのか エッセイとは、自分の体験や考えをそのまま素材にして語る、もっとも人間的な文芸です。経験、感情、違和感、葛藤、発見 ── これらはAIには触れられない、あなただけの固有の物語。

05/07/2026

アーバンパーマカルチャーガーデン🪴

「それ、書く意味ありますか?」ナラティブエッセイ学では、きっと多くの人が、最初にこの問いにぶつかります。昨日見た景色。ふと耳に残った言葉。なぜか心に引っかかった、とるに足らない出来事。心に残ったけど、同時にこう思ってしまう。・誰の役に立つん...
02/07/2026

「それ、書く意味ありますか?」

ナラティブエッセイ学では、
きっと多くの人が、最初にこの問いにぶつかります。

昨日見た景色。
ふと耳に残った言葉。
なぜか心に引っかかった、とるに足らない出来事。
心に残ったけど、同時にこう思ってしまう。

・誰の役に立つんだろう
・こんな話、価値あるのかな
・もっと大きな体験を書いたほうがいいんじゃないか

その瞬間、多くの「物語の芽」が、書かれる前に捨てられてしまいます。

でも、今、売れている本や映画を見てみると、
そこに描かれているのは「成功者の人生」ではありません。

交通誘導員の日記。
コンビニ店主の記録。
電通マンの違和感。
トイレ清掃員の、静かな毎日。

映画『パーフェクトデイズ』も、描かれているのは「何者でもない人」の、繰り返される日常です。

なぜ、市井の人々の日記や独白が心を掴むのか。
それは、私たちがもう、成功神話に疲れているから。

「うまくいった話」よりも、
「うまく言葉にならない違和感」に、自分を重ねる時代に入っているからです。

ナラティブエッセイ学は、
うまい文章を正確に速く書けるようになる講義ではありません。
SNSでバズる書き方を教える場でもありません。
結果的に自己紹介につながるとはいえ、PRのためだけの文章を学ぶ場でもありません。PR文はもう、誰でもAIで量産できる時代です。

⚫︎今回挑戦するのは、
まず自分の人生を、もう一度ちゃんと聴き直すこと。
・なぜ、あの出来事が引っかかったのか
・なぜ、忘れようと決めたのに思い出すのか
・なぜ、言葉にできない感情が残っているのか
・あの時、本当はどうしたかったのか

それを、評価や正解から一度切り離し、
「物語」として丁寧に編み直していきます。
短文が溢れ、なんでも結論の即答が求められる時代だからこそ、
長文には、長文にしかできない仕事があります。
時間をかけて書く。読む。

その過程でしか起きない、深い納得や変化がある。
ナラティブエッセイは、速さに抗うための文章です。

自分の人生を、
「使えるネタ」や「実績アピール」に変換してしまう前に、
ちゃんと味わうための文章です。

もしあなたの中に、
「書くほどじゃないかもしれない出来事」
「誰にも話していない違和感」
「なぜか消えない小さな記憶」があるなら、
それは、もう十分すぎるほどの理由です。

大事件はいりません。立派な結論もいりません。もちろんあってもいいけど、大事件ほど誰もが似たパターンになりがちです。小さな出来事が書けるようになれば、大事件のほうがむしろ書きやすい。

⚫︎ナラティブエッセイ学は、自分の言葉で自分を語るプロセスを学びます。
静かに、深く、「人生」と「自分」の不思議に向き合い、言語化したい人のための場所です。

日程:
第1回:7月16日(木)19:30-21:30
第2回:7月23日(木)19:30-21:30
第3回:7月30日(木)19:30-21:30

▶︎講義「ナラティブエッセイ学」詳細・お申し込みはこちら

なぜ今、エッセイを書くのか エッセイとは、自分の体験や考えをそのまま素材にして語る、もっとも人間的な文芸です。経験、感情、違和感、葛藤、発見 ── これらはAIには触れられない、あなただけの固有の物語。

住所

東京都千代田区平河町2-5-3 MIDORI. So NAGATACHO5F
Chiyoda-ku, Tokyo
1020093

アラート

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