28/02/2026
【5年生には図-8】
続いて「一本杉の問題」も「上りと下りをセットにする解法」で解いてみます。
「AからBまで往復」は1時間20分+55分=2時間15分です。
「一本杉と山頂との中間地点」を点Cとすると、
「AからCまで往復+AからB=3時間5分」ですから、「AからCまで往復」だけだと3時間5分-1時間20分=1時間45分です。
「AからBまで往復」と「AからCまで往復」の差は「CからBまで往復」ですが、これは2時間15分-1時間45分=30分です。
そしてこれは「一本杉からCまで往復」と等しいです。
「AからCまで往復+AからB一本杉からCまで往復」=「Aから一本杉まで往復+AからB」で、これが答えです。
ですから答えは、3時間5分-30分=2時間35分です。
この手順を1まとめにした式が、先に挙げたものです。
(続く)
27/02/2026
【5年生には図-7】
先に4で出題した[問題]の解説を行います。
A町からB町まで往復した時間から、A町からC地点まで往復した時間を引くと、C地点からB町まで往復した時間が出ますが、これは逆にB町からC地点までを往復した時間と同じです。
2時間15分+1時間45分-2時間30分=1時間30分
これが答えです。
(続く)
27/02/2026
【見直し-3】
「直し」と「見直し」の最も大きな違いは「直しが全問正解を基準にしている」のに対して「見直しは解ける問題を確実に解くことを基準にしている」点です。
言い換えれば「直し」は「全問正解からの減点法」、「見直し」は「とれる得点を積み上げていく加点法」になっているわけです。
「見直し」だって目的は「ミスをなくすためのもの」なのですが、解いている側の心理としては、「よし、これで5点加点だ」という気持ちになる。この差は大きいのです。
そもそも「直し」は試験終了後にやるもので、「試験中何をすべきかという指針」は全く示されません。
「見直し」はまさに「試験中にやるべきこと」です。
ですから、試験時間が50分だとしたら、そこから「見直しをするための時間10~15分」を引いた残りが「実質的試験時間」になるわけです。
「それでも解けるだけの点」が現在の「目標得点」です。
生徒のレベルが上がっていくと、「見直しに要する時間」も減って行きますから、「実質45分を使って満点近くを狙う」というように「進化」するわけです。
「見直し」は本当に大事です。
現代の「トップに近い学校」は「みんなが解けそうな問題を落とすと即不合格」になるようなケースも多く、「見直し」の重要度は高まっていると言えます。
25/02/2026
【5年生には図-6】
先に挙げた2つの問題に対する「ヒント」を書いておきます。
それは「上り下りの問題は、上りと下りをセットにすれば簡単になる」ということです。
「同じ個所を上って下って何時間何分」というように置き換えて考えるということです。
これの何がいいかというと、それは「方向性がなくなる」ということです。
「A町から山頂まで往復する」のと「山頂からA町まで往復する」というのを比較すると、「同じところを上って下る」ということは同じですから、当然かかる時間も同じになります。
ということは、「A町からB町まで往復する」ということは、「A町から山頂まで上り、山頂からB町まで上り、B町から山頂まで下り、山頂からA町まで下る」というのと同じことなのです。
ですから、「A町からC地点まで上り下りして往復する」のと「B町からC地点まで往復する」のを足せば、「A町からB町まで往復する」のと同じ時間になるのです。
(続く)
25/02/2026
【見直し-2】
以前生徒に「見直しの重要性」を話したら、「母親に言われてやってみたのだが、同じところでミスをして同じ答えになった」と言った生徒がいます。
これは指示をしたお母さんが「間違い」をしていると思います。
「見直し」と「直し」を勘違いしているのでしょう。
「直し」は「解き直し」ですから、同じ経路を再びたどってみるという意味ですが、それでは生徒が言う通り「同じ個所で同じミスを繰り返す危険性」が非常に高いですよね。
それを防ぐために「見直し」では経路を変えて解き直します。
計算問題で言えば、スタート地点に近いところの数値を□に置き換えて、「求めた答えを使って□を求める問題に置き換える」のです。
つまり、「同じ問題を逆から解く」わけです。
これが元の数値と一致すれば、その計算は「合っている」ということですし、一致しなければ「間違っている」ということになります。
私が小学生の頃には小学校の算数の授業でも教わった手法ですが、今の小学校ではこういうことを教えていないようです。
その代わりに「百マス計算」等を使って、「ひたすらノーミスを目指す」という指導法になっているわけですよね。
問題大ありだと思うのですが、先生自身が「解答を見ながら教えている」と、そういうことになるのでしょう。
(続く)
24/02/2026
【ノーミスより見直しの習慣を付けよう】
「見直し」と言うと、「直し」と混同する方も多いかもしれません。
逆に高校受験の経験がない私は、「直し」という単語がこの世に存在することすら知らずに大人になりました。(笑)
高校受験の世界では「直し」は「正統派の学習法」として定着しているようですが、もし私と同様にこの単語を知らない人がいたときのために説明すると、「直し」というのは「試験問題の全問解き直し」の略語なんだそうです。
そして公立中学校ではそれが「宿題」として出され、期日までに提出しないと「内申点が削られる」ということなのだそうです。
人間は「恐怖感」を伴って経験したことは記憶に強く残ります。
高校受験というのは、どうもその「恐怖感を伴う学習習慣」を身に付ける場になっているようで、「直し」=「誰もが知っている共通語」&「誰もがやらなければいけない義務」というイメージになるらしいです。
しかし、この「直し」という習慣には、弊害がたくさんあります。
もし中学受験のご家庭でやっているようならば、すぐに止めることをお勧めします。
「直しの弊害」については別の機会に譲りますが、「見直し」というのはこれとは違って「試験中に行うこと」です。
たとえば計算問題を解いたあと、出てきた答えに「どうもしっくりしない感じ」があったら(あるいは試験終了前に解いたすべての問題に対して行ってもいいです)、必ず「その答えが間違っていないかを確認する」ことを、「見直し」と言います。
これを4~5年生の間に習慣化しておくことは、非常に大事です。
(続く)
24/02/2026
【5年生には図-5】
先の問題を解く「仕組み」が分かりやすい類題を作ってみました。
[問題]
A町から山を越えた向こう側のふもとにB町があります。
A町から山頂まではずっと上りで、山頂からB町まではずっと下りです。
歩く人は、上りも下りもそれぞれずっと一定の速さで歩きます。
A町からB町まで歩くと2時間15分、B町からA町まで歩くと1時間45分かかります。A町から山頂を越えてB町に下る途中のC地点まで行き、そこから引き返してA町に戻ってきたら、2時間30分かかりました。
B町からC地点まで往復すると、何時間何分かかりますか。
これも図を描いて考えると「A町から山頂までと山頂からB町まで」を分けて考える必要がないことが分かるはずです。
(続く)
20/02/2026
【5年生には図-4】
この問題なども、「図で考える習慣があるかどうか」で解法が(もちろん解く速さや難易度も)がらっと変わってしまう問題の典型です。
1990年雙葉の最後の問題
太郎さんはA町から一本杉を通って山頂Bまで上るのに1時間20分、山頂Bから一本杉を通ってA町まで下るのに55分かかります。
ある時A町から山頂Bまで上るのに、一本杉と山頂とのちょうど真ん中の地点で忘れ物に気が付きすぐA町まで戻りました。そしてA町で忘れ物を取りすぐ山頂へと向かい、はじめにA町を出発してから3時間5分後に山頂につきました。もしも一本杉で忘れ物に気が付いていたら、かかった時間はいくらでしょうか?
太郎さんは上るときと下るときはそれぞれ決まった速さで歩きます。
図を描いて考えると、次のように「超簡単」に答えが出てしまいます。
3時間5分-(1時間20分×2+55分-3時間5分)=2時間35分
しかし、多くの塾の先生は「上りと下りの速さの比」とかを求めてとても面倒くさく解きます。
上の式は、どういう図で考えているか分かりますか?
(続く)
19/02/2026
【ノーミスの価値?】
今ちょうど冬季オリンピックが開催されていますね。
TVでは連日「ノーミスの演技の素晴らしさ」を連呼しています。
しかし「ノーミス」に価値があるのは、「減点法」の世界だけです。
フィギュアスケートにしても、スキーやスノーボードの採点競技にしても、採点は「減点法」で行われています。
その中で「満点を競う」のが基本なわけです。
「加点要素」もありますが、それはあくまでも「追加点」みたいな扱いですよね。
いわゆる「習い事」はほぼ全て「減点法の世界」です。
だから「ノーミスに価値がある」わけです。
よく子供のピアノ発表会で、「自分の子供がノーミスで弾けて感激した」とか言っているご両親を見かけますが、正直「そんなに上から目線で見ていていいのだろうか?」と感じます。
中には「親もノーミスで弾ける」というような音楽家一家もあるでしょうけれど、そういうご家庭の場合、コメントは「ノーミス」ではなく「音楽性」に関するものになるはずです。
つまり評価する視点が上がるほど「ノーミス」という「減点法の採点」ではなく「秀でている点を評価する」「加点法の採点」をするということですね。
中学受験は「加点法」です。
SAPIXで言うと「基礎トレ」(今は計算トレーニングって言うのですか?)のように「誰もが解法を知っているような問題」「誰もが解けて当然の問題」だけを解いても、合格最低点には届かないからです。
もちろん「解けて当然」の問題はきちんと正解して、その上で「ちょっと手ごわい問題」もいくつか解けないと合格点には及びません。
ただしこの場合の「正解する」というのは「ノーミス」ではなく、「きちんと見直しをしてミスを自分で正す」という過程を経て最終的に正解するという意味です。
この場合、試験対策は「解けて当然の問題」の方に比重を置いてはいけないのです。
「繰り返し学習」で「解けて当然の問題」の対策ばかりしていると、「ちょっと手ごわい問題」に当たったときに、そこで思考停止してしまったり、あきらめてしまったりするからです。
「基礎トレ」は「基礎トレーニング」の略で、SAPIXで配布されている「毎日やる日付入りのドリル」ですが、それは「数値だけ替えた同じ問題が7日分載っている」ドリルなんです。(笑)
多くの方はこれを「宿題」と称しているようですが、SAPIX側は「勝手にやっておきなさい」という意味で配布しています。
義務ではないんです。
ですから、トップクラスの生徒の多くは「数字だけ変わった同じ問題を何度も解いても意味がないから、1日分しかやらない」と言います。
私自身それを奨励しておりまして、生徒の中には「なあんだやらなくていいのか。じゃあ僕もやらないことにしよう」なんて生徒が続出しました。(笑)
ピアノと違って「間違えたら引き返せない」のではなく、「見直しをして間違いを正すことができる」のですから、何もそんなに「機械的処理能力を上げる」必要はないのです。
まして「機械的処理能力と引き換えに、思考能力を下げる」なんて、もっての外です。
(続く)
19/02/2026
【小学校4年生は高校生】
中学受験において「繰り返し学習で基本を覚えこむ」という学習法を提唱する先生は確かにいます。
また、「家塾」「母塾」でも「同じ問題を繰り返し解いて解法を覚えこむ」というのが「正しい学習法だ」と信じているケースはよく見かけられます。
しかし、それは「考え違い」だと思うのです。
中学校までは数学が得意だったのに、高校数学になったら成績がどんどん下がったという経験をした方は少なくないはずです。
大学受験の数学でさえ「解説を繰り返し読んで覚える」という学習法を提唱する方はいますが、それが通用するのは「定型的な問題しか出ない大学」か、「東大のように数学の合格最低点が低い大学」だけで、しかもその「丸覚え学習法」であっても、高校受験の数学のように簡単ではありません。
小学校の算数においては、前半の3年間が「中学数学」に相当し、後半の3年間は「高校数学」に相当します。
「中学受験算数」は、もちろん「高校数学相当」です。
しかも受験生の年齢が「まだ『漢字中枢が未発達』な小学生」なので、その「丸覚え」の難しさも高校生とは比較にならないくらい大変です。
つまり「中学受験算数では解法丸覚えはほぼ不可能」です。^_^;
「高校受験のときには数学が得意教科だった」という大人の方達でも「中学受験算数には歯が立たない」と仰る方が多いのは、この「考え違い」が原因だと思います。
高校受験数学は「初級数学」ですが、中学受験算数は「高等算数」なのです。
甘く見てはいけません。
中学受験における「小学校4年生」は「高校生相当」ですから、「かけ算九九」を丸暗記していた頃の「子ども」とはワケが違うのです。
(続く)
15/02/2026
【4年生-5】
「学習習慣」
そもそも「学習習慣」というときの「習慣」と「外出から帰ったら手を洗う習慣を付ける」という「習慣」を一緒にしているご両親は多いのではないでしょうか?
以前、いわゆる「高所得者向け雑誌」に「1年生になる前に1日1時間机の前に座る習慣を付けましょう」という見出しがあるのを見てびっくりしたことがあります。
「牛を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」ということわざはみなさんご存じかと思います。
それと同様に「机の前に座らせても、勉強させることはできない」と言えます。
さらに言えば、「無理やりドリルを解かせても頭を良くさせることはできない」とも言えます。
「習慣化しすぎると頭を使わなくなる」というのは、みなさん当然のように理解されているかと思います。
たとえば「かけ算九九」は「頭を使わないくらい習慣化させて正解」なのですが、中学受験算数に関しては「常に頭を使う習慣」こそ身に付けるべきであって、嫌々ながら、無理やりやらせることは逆効果なのです。
「思考習慣」は、楽しみながらやってこそ身に付くものです。
(続く)