09/03/2020
新型コロナウイルス感染症問題のため、例年よりも簡素なものとなりましたが、一昨日の3月7日に鳥取看護高等専修学校では卒業式を挙行いたしました。
快晴の中、14名が卒業されました。卒業生の皆さんの明るい未来を祈ります。
また校長として式辞を以下のように述べさせていただきました。
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卒業生の皆さん、おめでとうございます。
またご父兄の皆さまに、心よりお祝いを申し上げます。
そして本日、ご列席いただきましたご来賓の方々に御礼申し上げます。
さて新型コロナウイルス感染症の問題により、全国で卒業式の中止や縮小が行われる中、本校のこの卒業式も、校歌やお別れの歌の合唱もないなどの残念な卒業式となりました。このような決定をしないといけなかったことを、とても心苦しく思っています。
今、日本では、この新型コロナウイルス感染症の問題に対してさまざまな対策が取られ、それが私たちの社会と生活に大きな影を落としています。この混乱やダメージは、最低でも数ヶ月は続くでしょうし、場合によっては数年続くかもしれません。それに対して政府の政策を支持する声もあれば、不満を訴える声も上がっています。その内容を論評することはここでは控えますが、ただ一つ言えるのは、この問題は誰がどんな政策を行ったとしても、社会は確実にダメージを受けるということです。
決してプラスやゼロにはなりません、マイナスの結果しか待っていません。ただそこでできることは、その結果がマイナス100になるか、それともマイナス10に抑えられるかといった、どれくらいマイナスの程度を少なくできるか、ということであり、そこに現在、知恵と努力が傾けられていると言っても過言ではありません。
選べる選択肢がすべてマイナスの結果でしかない、という現実の中で、それでもより程度の少ないマイナスを選択していくということ。それは苦痛ではあるけれども、それでもやっていかなければならないこととなります。
そして卒業する皆さんがこれから向かっていく、看護、医療の世界でも、やはりマイナスの結果しかない選択肢の中で、それでもより程度の少ないマイナスを選択しなければならないという場面に直面することが、少なからず出てくることになると思います。そもそも病気や怪我というもの自体が人の生活、人生の中でマイナスの問題であり、そこから完全に回復して初めてゼロになります。しかし、病気や怪我に対して完全な回復を望めないことも少なくありません。
例えば糖尿病が進行すれば足が壊疽を起こして、足を切断しなければ命が危ない、という状態になることがあります。足を切ってしまえば、もう自分の足で歩けません。しかし切らなければ命そのものを失います。マイナスしかない選択肢です。患者さんにとっても医療者にとってもこれは苦渋の決断ですし、特に看護職は、そういう病態に追い込まれた患者さんの心を、どのように支えていくか、ということも問題となります。しかしそれでもマイナスしかない選択肢の中で、何が一番良いのかを選んで実践していかなければなりません。
今日本は「新型コロナウイルス感染症が広がる社会」というマイナスしかない選択肢の中で、ダメージを受けながらも、それでも、もっとも良い解答を模索し進んでいこうとしています。そして今日、卒業する皆さんも、今後現場の中で、マイナスしかない選択肢の中から、もっとも良い解答を模索し実践せざるをえなくなることが出てくることかと思います。
しかし、それがどんなに辛いことであっても、よく考えて決断し進んでいってください。
皆さんはこの学校で苦労を重ねながら、卒業という栄冠を勝ち取りました。その努力を続けてきた自分という存在に、皆さんは自信を持ってください。そしてたとえ苦しい決断であったとしても、目の前の問題に対してもっとも良い解答を見つけるよう頑張ってください。
これから苦難に出会っても、皆さんがそれを乗り越えて進んでいくこと、そんな未来を祈りながら、これを式辞とさせていただきます。