09/11/2025
76号機改造 5
では、どのようにこの機構を実現するのかというと、図に示すように
構造としては、リアパネルに垂直にバスレフダクトを有する一般的
なバスレフ型のハコです。
ポイントは、このバスレフダクトに発泡スチロールの小さなボール
が挿入されていることです。
この発泡スチロールボールはハコ内圧の少ない少音量時には重力で
ダクトを塞ぎ、大音量時には内圧によってダクト内に吹き上げられる
ことで開口し、ダクト共振が生じます。
つまり、少音量時には密閉型として、大音量時にはバスレフ型として
動作するのです。
切り変わりは2値的に生じるのではなく音圧によって緩やかに起きる
ため、中音量時にはバスレフダクトに抵抗を有したダンプドバスレフ
としてバスレフ効率が低下した状態となると予想されます。
この構造により、少音量時にはバスレフのクセを感じないクリアな音
が期待され、大音量時にはバスレフ動作により、低音の増強とともに
ハコ内圧を低減する効果が得られるのです。
20/10/2025
76号機改造 4
ここでオリジナル技術のバリアブル・バスレフ方式について
おさらいしてみます。
スピーカーシステムの代表的な方式としてバスレフ型と
密閉型があります。
それぞれ一長一短がありますが、小型のスピーカーシステムでは
低音再生の効率が良いバスレフ型が一般的には採用されています。
バスレフ型はスピーカーユニットの背圧を利用して、バスレフ
ダクトを共振させて低音を放出する巧みな方法で、小型ハコ
の背圧処理と低音増強を同時に行え、共振周波数を適切に調整
することで高い効果が得られます。
しかし、常に共振音が聴こえるため、低音に「クセ」を感じる
場合があり、ダクトからのスピーカー内部の漏洩音も問題となります。
これに対して密閉型は、スピーカーユニットからの放射音のみを
聴くことができ、少音量時にはスピーカーユニットに背圧による
空気バネ効果が適切にかかることで、低音の再生帯域を延ばす
という効果があります。
ですが、大音量時には大きな背圧がスピーカーユニットにかかる
ため、歪の増加やハコ振動からの発音などの問題が生じ、大量の
吸音材を使用することが一般的です。
バリアブル・バスレフ方式は、この2方式のハイブリッドであり、
再生音量に応じて、少音量時には密閉型に、大音量時にはバス
レフ型にシームレスに切り変わるという方法です。
両者のいいとこ取りをしようという狙いなのです。
写真の78号機が初号機で、今回は研究2号機になります。
06/10/2025
76号機改造 3
今回のスピーカーシステムはバリアブル・バスレフ方式で
計画します。
この76号機を改造のベースに選んだのは、バッフルパネルに
おあつらえ向きの四角い穴が2個開いているからです。
2つ目の穴がバリアブル・バスレフのダクトユニットを装着する
のに都合が良いのです。
もちろん、気に入らないバッフルデザインも改良し、内容積も
確保できるようにハコの2重構造も変更します。
28/09/2025
76号機改造 2
今回、改造のベースとなるモデルは76号機です。
詳細は「LEGOスピーカーの製作 第65報」。
https://www.kit-ya.jp/etc/club/seisaku/ysugi/ysugi65
2021年の作品で、Stereo誌のmook本に付属してきた6㎝フルレンジ
「OM-MF4」を2本使用したパッシブラジエーター方式で、最大の
特徴はハコを2重にして強度を高めたことでした。
確かに強固なハコの効果は認められましたが、内容積が
犠牲となり、大きさの割には0.9リットルと少なく、音も良いのも
ではありませんでした。
なにより、そのデザインが×で、白いバッフルパネルが
麻雀パイみたいで最悪です。
だから倉庫で眠っていました。
24/09/2025
76号機改造 1
写真は2022年のStereo誌ムックに付属していた
マークオーディオ製の6㎝フルレンジユニット
OM-MF4-MICAです。
今回はこれでスピーカーシステムを製作します。
<OM-MF4-MICA 仕様>
形式 マイカ混入ペーパーコーン6㎝フルレンジ
インピーダンス 6.8Ω
最低共振周波数 106.69Hz
出力音圧レベル 85.23dB/m
最大入力 7W
Mmd 1.33g
Qts 0.55
XMax 4.0mm
ちなみにMmdは振動系の質量、Qtsは振動系の共振
のQ値(振動の状態を表す数値)、XMaxは振動板
の最大振幅です。
29/09/2024
61号機改造 END
試聴の結果は、これだけのコンパクトスピーカー
システムにしては低音感が充実していると感じます。
サブユニットの高音域干渉による定位の乱れなども
気になりません。
なにより、メインユニットに対する背圧の処理効果
が大きく、低音域の破綻や高音域の内圧から生じる
歪感が低減されていることが、本方式の最大の
メリットであると考えています。
本機はお酒を飲みながらのBGMシステムとして日々活躍
しています。
これで聴くジャズとカクテルは、なにより至福の時なの
です。
01/09/2024
61号機改造 10
まずは測定です。
インピーダンス特性を見ると、80Hz付近にバスレフ方式のような
谷が存在します。これがそのままサブユニットの共振であるとは
言い難いですが、80Hz付近に何らかの低音増強作用が働いている
ものと想像されます。
高音域でのインピーダンス上昇が抑えられているのは、コン
デンサー接続の影響ですが、2kHz程度から高音域の放射抑制効果
があるものと推定しています。
システムインピーダンスはおおよそ5Ωです。
18/08/2024
61号機改造 9
組み立ての完了した61号機改。
8㎝フルレンジユニットにはちょうど良いサイズだと思います。
オリジナルのメインユニットとどのように音が変わるか
楽しみです。
04/08/2024
61号機改造 8
バッフルパネルが完成しました。
同じメーカーの8cmフルレンジユニットの交換なので
穴位置もまったく変りがありません。
しっかりとダブルナットで固定することができました。
このユニットの白いコーンはLEGOスピーカーの共通デザイン
バッフルサイドのホワイトリボンに良く似合います。
21/07/2024
61号機改造 7
61号機の改造作業を行います。
LEGOスピーカーは改造が容易で、ゴミが一切出ないのが
メリットです。
今回はバラしたバッフルパネルにスピーカーユニットを
交換するだけの簡単な作業です。
14/07/2024
61号機改造 6
パッシブラジエーター専用に設計されたスピーカーユニットでは、
ウエイトを振動板に付加して最低共振周波数foを下げていますが、
通常のスピーカーユニットでは密閉式のエンクロージャに収め
られたことでfoが上昇して、低音域の増強効果が下がってしまい
ます。
特に本機のような6cmユニットではfoが高く効果が小さいです。
そこで、スピーカーユニットの振動板にウエイトを貼り付ける
というテクニックが良く知られています。
基礎実験として、8cmウーハーユニットFOSTEXのPW80Kに硬貨を
ウエイトとして乗せて、上向きでスピーカーユニット単体での
foを測定してみました。
PW80Kの仕様は fo:130Hz 振動板質量mo:2.3gです。
基礎実験の結果は以下となり、ウエイトの付加により確実にfoが
下がることが確認できました。
たった1gの付加で25Hzもfoが下がるのは興味深いことです。
もちろん、foが下がれば良いというものではなく、振動系が重く
なることで振幅が小さくなり効率は低下します。
・ウエイト無し :fo 140Hz
・1円硬貨 1g :fo 115Hz
・5円硬貨 3.75g :fo 85Hz
・10円硬貨 4.5g :fo 83Hz
・10円×2枚 9g :fo 63Hz
本機においては、ウエイトとして約8gのオモリを付加しています。
しかし、これによるfoの移動周波数は測定できていません。
実際のシステムではハコの影響やメインユニットの機械的干渉作用
が存在するため、測定が困難なのです。
07/07/2024
61号機改造 5
ハコの構造的にはダブルユニットの単なる密閉箱です。
内容積は約1.7リットルで吸音材にはスポンジボールを使用して
います。
パッシブラジエーター方式に吸音材が必要か?という点では
議論があると思いますが、本機のような小さなハコでは内部の
反射音対策に必要なのではないかと思います。
リアパネルにターミナルを2組設けて、接続抵抗値の最適化
実験に対応しやすくしています。