12/03/2021
森田実先生の公式Facebookにて、本学の健康社会戦略研究所編『東日本大震災と原発事故からのの10年——災害現場の初動から真の復興、そしてウィズコロナの未来に向けて』をご紹介して頂きました。
森田先生、ありがとうございます。
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「森田実 世界研究室通信 280」
東日本国際大学健康社会戦略研究所編『東日本大震災と原発事故からのの10年——災害現場の初動から真の復興、そしてウィズコロナの未来に向けて』(発行所=東日本国際大学出版会,2021年3月11日初版第1刷発行, 3000円+税)/
この十年、東北人はあらゆる苦難に耐えて東北を復興し、希望ある未来の創造のため奮闘してきた。この体験は人類史に記録すべき貴いものだ。本書は苦難に抗して生き抜いてきたたくましい東北人の叫びである(本書・帯[表1]より)
「義を行い以て其の道を達す」(孔子)
本書は2011年3月11日の東日本大震災から今日に至る10年間、東北復興に関わった人々の魂の記録集です。この本の作成は、とくに二人の偉大な教育者に負うところ大です。学校法人昌平黌東日本国際大学理事長の緑川浩司氏と東日本国際大学健康社会戦略研究所長の石井正三氏です。緑川浩司氏は、教育への旺盛な情熱と傑出した洞察力と確固とした社会的責任感をあわせ持つ、きわめて優れた学校経営者です。その上、抜群の行動力の持ち主です。
この十年、東北の人々は苦難に耐え復興のため努力してきました。地震と津波と原発事故の三重苦を背負うことになった福島県いわき市の市民も、驚異的な忍耐力を発揮し、苦難に耐え抜いてきました。いわき市にある東日本国際大学もまた苦難に抗しながら、困難の中にいる人々を救助・救援しつつ教育に取り組んできました。この大学のリーダー・緑川浩司理事長は、本書の「はじめに」で記しています。
《(この10年間の)災害において、私たちの心の拠り所となったのが、建学の精神である。「義を行い以て其の道に達す」という『論語』(李氏篇)の一節でありました。「人のために尽くす」という生き方と心の豊かさ、人間力こそが人々の絆を強め、復興への原動力となることを実感することができました》
「義を行い以てその道を達す」は「人間として為すべき正義を実行することによって自らの信念・志を達成する」という意味です。これは私流の解釈です。
本書編集にあたった東日本国際大学健康社会戦略研究所の石井正三氏は、数々の輝かしい業績をあげた医学者であり優れた研究者です。本書は、この石井所長とそのスタッフが充実した活動を展開してきた成果が結実したものです。本書への寄稿者は約40名にのぼります。すべての論稿に熱があり、説得力にあふれています。総ページ数は550ページにおよぶ大著ですが、どなたでも難なく読了できる、大変わかりやすい本です。
さらに、本書の主要論文ならびに国際シンポジウム・パネルディスカッションが英文で収録されていますが、これは素晴らしいことです。いまや世界は一つです。東日本大震災から10年の記録を世界に向かって発信しようとすることは大いに意義あることです。東日本大震災から10年を記して、本書が刊行され、その内容を英文で世界に伝えたという業績は、高く評価されるものと思います。
まだ、東北の復興は終わっていません。まだまだ多くの課題が山積されています。「東日本大震災を風化させてはならない」という貴い決意のもと、昨年来、世界を襲っているウィズコロナの時代だからこそ、東日本大震災からの10年の経験は、世界が目を向けるべき貴重な人類の記録です。
本書が、東日本大震災から10年を経て、ウィズコロナの今、刊行された意義はきわめて大きいものがあると思います。この東北の復興のため努力してきた人々の魂の記録を、ぜひ全国民、全世界の人々に読んでいただきたいと強く思います。