16/08/2026
日本の橋が木や石でつくられていた時代、たった一つだけ、大河に流されることなき橋が架かっていました。
錦帯橋(山口県岩国市)。現代の永久橋が登場するはるか前から、今もなお、その原形の姿で架かり続ける、キセキの永久橋です。
幅200m、ときに激流と化す錦川。そこに約350年も前、このキセキを実現可能としたのは、城下に流されない橋を切望した当時の領主の熱意と、そしてなんと、日本で培われた戦国以来の築城技術でした。
城の石垣のような4基の巨大橋脚と、小さな桁材を巻金で補強しつつ巧みに組み合わせることで叶えた長大アーチ。その美しい曲線は、単なる円ではなく、カテナリー(紐を自然に垂らしたときにできる曲線)だったとの研究も。それは、石、木、鉄という古来の素材を駆使した、前例のない世界唯一の“錦帯橋式アーチ”でした。
岩国の人々は幾世代にわたり、数々の記録、口伝え、定期的な架け替えによる技術の継承、用材確保のための植林などで、地元の誇りとなったこの橋を守り伝えました。
戦後に一度流されても、鉄筋コンクリート橋ではなく、もとの姿のまま不死鳥のようによみがえりました。
名橋、錦帯橋は、いつしか岩国というまちの遺伝子となっていたのです。
それを強く感じる印象的場面にも出会いました。
それは、岩国市が定期的に開催するイベント「錦帯橋学校」で、こどもたちが組み立てた1/5サイズの錦帯橋模型のアーチが、ついに結合した瞬間でした。キセキはこうして、またこのまちの次世代へと受け継がれゆくのでしょう。
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