子供達が夢中になって絵を描いたり、遊びまわったりしている姿に出会うと、何か言いようのないやさしく楽しい気分が湧き上がってくるものです。それは子供達が本来持っている姿に出会っているからに違いありません。
子供達は確実に彼等自身の世界を持っています。この様な子供の世界や彼等の表現に入って行くには、子供達の世界を認める事なしでは不可能です。
ここで現場の私達が子供の世界や彼等を認めた上で彼等の中に入ってみると、どうも外側から眺めた時の無心で素晴らしい世界ばかりではありません。ここには現場での問題点や悩みが山積みされています。
これらの一つ一つを乗り越えて行く子供達を見ていると、たくましさを感ずると共に一緒に歩き抜けた喜びさえも感じます。この困難に立ち向かい乗り越えた子供達には生の実感がかならずや残っている事でしょう。そして子供達が実感してつかんだ彼等の世界は、やがて大人になった時に確固とした考えを持ち正確な判断力を持つ創造力豊かな人間形成へのささやかな根源になると信じています。
千葉美術アカデミーでは、創造活動の指導を通して、子供の世界を認め、その世界を育てて行くことを目標に造形教室を開いております。
三、四才。親の愛情を受けることにより、やさしい心が芽生える「信頼の時」さらに自分で出来る喜びを体験する「自立の時」また、小学生になるとやれば出来るという自信から色々な物に興味を持ち、それらを行なう意欲の強い「活動性の時」さらに「自発性の時」へと進む訳ですが、この序列が私達の想像以上に大切で人間の形成に大きな係りを持つと言われています。現在は学習(左半球)を重視するあまり、右半球の感性にかかわる(感性の多くは体験からはぐくまれる)情操への刺激や正しい答えのない世界の存在を忘れがちです。人間の形成には、この両者のバランスが大切で、教える事と体験させる事が必要です。
学習の世界が「先生から生徒へ」という図式に対して、造形表現活動は、幼い技術や知識でもすばらしい表現をすることが出来、相手を感動させる事の出来る領域、「生徒から先生へ」の図式となります。これは子どもにとって、自分が受け入れられた、という自信につながります。そしてこの受け入れられる機会を多く体験する事により、他人をも認める様になります。この過程が本物の自信と信頼を養う場となり、その場を提供することが今、一番必要とされているのではないでしょうか。又その造形表現活動の場が造形教室にあります。
私は子供達の楽しそうな、そして真剣な目が好きで、悲しげな寂しそうな後ろ姿は嫌いです。
又、子供達同志の怒りのパンチや抵抗の言葉に興味があります。
子供達は相手をしばしば傷つけている事をあまり知りません。
ですから残酷な世界にも見えますし、最高に感激ある時代だとも感じます。
それ故、子供に対する時は、あわてず、せかさず、じっくり接する事が我々講師、親の役目の様な気がします。